うたのおけいこ 短歌の領分

2024/11/05(火)05:07

藤原彰子  見るままに露ぞこぼるるおくれにし心も知らぬ撫子の花

その他の和歌(234)

藤原彰子(ふじわらのあきこ、しょうし) 見るままに露ぞこぼるる      おくれにし心も知らぬ撫子なでしこの花 後拾遺和歌集 569 見ているだけで涙がこぼれるのです。 見ていると、朝露がこぼれる撫子の花を無邪気に摘んで持ってきた、 遺されたことを心にも知らぬ、花のような撫でし子よ。 註 一条天皇の中宮(皇后)だった作者が、崩御によって皇太后となったある日、まだ父の死を知らぬ頑是ないわが子・敦成あつひら親王(のちの後一条天皇)が、撫子の花を摘んできたのを見て詠んだ。 「文学担当」の女房(侍女、女官)だった藤式部(紫式部)の指南も入っているかも知れない。象徴主義的技法を用いている佳品。 * NHK大河ドラマ『光る君へ』10月27日放送。

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