Graceな生活

最年少のボーイフレンドの巻き


韓国人の彼の名前は、サクウァン（発音はわからない）。
日本語も英語もあまりわからない子だったの。
キンダーから First grade に上がる前のサマースクール。
よく彼は泣いて暴れていた。
色が白くて丸顔のサクウァン。

ある日、一つ上の在日コリアンの男の子と取っ組み合い
の喧嘩をしていた。

二人とも真剣だ。

在日の子は、4世だから日本語に関してはまったく問題はない。
ギャラリーは、英語やハングル、日本語で煽ってる。
少しくらいのケンカだったらそう気にもしなかったんだけど
その時は、違ったのよ。

サクウァンの目から悔しさで一杯の涙を流して手足は血だらけ。
ほとんど自分で暴れて傷をつけたような感じだった。

他の先生と何とか二人を引き離したんだけど、興奮して
いたサクウァンは、私の美しい顔に爪を立て、手に噛み付き
押さえつけても暴れてたんだ。
一瞬、怖いと思ったけど相手は7歳。
押さえつけるんじゃなくて、抱きしめようと思って迎え合せになって
力一杯Hugをしたの。
そうしたら力が緩んで、今度は大きな声で泣き出した。

私は、頭をなでたり背中をさすったり。。。
ようやく私のTシャツが鼻水と涙でグッショリ濡れた頃、力なく
自分のクラスに入っていたサクウァン。


ランチタイム


その日のランチタイムに私の部屋に彼が来た。
「Ms.Grace。。。コレ、レンジして。」と恥かしそうに。
私も「OK！じゃ、サクウァンがやってごらん。私が教えてあげる。」
そう言って、教えてあげた。
待っている1分くらいの時間。
私のひざの上にちょこんと座って、「Ms.Grace。。。Sorry。。。
ここイタイ？ボク、悪い子だね。」って自分が噛み付いたり引っかいて
ミミズ腫れをした私の腕を自分の人差し指でなぞりながら言うの。
もう、その一言が可愛くて可愛くて！！！もう、キュンキュンよ！

「ううん。悪い子じゃないよ。私はアナタが大好きだよ。」と
言って、ひざに座っているサクウァンを後ろからギュット抱きしめた。
「ありがとう。。。ボクも大好きだよ。ここで一番大好き！」って。


それからすっかり私たちは、学校でも公認の仲。
いつも私を見つけると腕にぶら下がってきた。


毎朝、必ず私の部屋に「おはよう！」を言いに来るの。
お昼もレンジを使いに毎日来てた。


それでも頻繁に在日の子たちとケンカをしては泣いてよ。
ケンカが弱いくせにかかっていくの。
そんで、「帰る！」と言って何も持たずに地下鉄方面に歩き出す。
それをいつも私が追いかけて連れ戻す。
「我慢なんてしなくてもいい。でも強くなれ！」
といつもそう言って抱っこして学校に戻ってたよ。


帰国する事になって、そんな毎日はそう長く続かなかった。
今日で学校を辞めるって日は、いつもより私の所に来る回数も
多く、帰りはお父さんとお兄ちゃんに引きずられるようにして行っちゃった。


それから1年。


今度は、観光で家族で来たと学校へ遊びに来たの！
そりゃ、スタッフは大騒ぎさ！

「マグミの彼氏がきた！ボーイフレンドがきたよ！！！！」

そんな声があっちこっちから聞こえ、ビックリして1階のフロアに行ったら
丸顔の幼児顔だった子が、少年の顔に成長していた。
片言の日本語だった子だから1年間で英語も日本語を
すっかり忘れてしまったみたいで、照れくさそうにお父さんの後ろに
隠れてでてこないのぉぉぉおおおお

「サクウァン？私のこと覚えてる？Ms.Graceだよ？」

と言うと小さくうなずいてまた隠れちゃったの。
こっちにいる時は小さいながらも言葉のストレスを抱えてたけど
自分の国、韓国へ帰って気持ちも軽くなったろうと思う。
だって、顔の表情が優しくなってたもん。


彼は今13歳。


いったい、どんな少年になっただろう。
彼の事を思い出すとウルウルするよ。
最近では、インターで働いていたときの事を滅多に思い出す事は
ないんだけど、この韓国ブームで昨日フッと彼を思い出したよ。



たった7歳で私を恋に落とした男の子。。。サクワァン。。。