仏性と魔性の違いは？

　　　[仏性と魔性の違いは？]

私の周りには個性豊かな楽しい人がたくさんいる。

Ｎさんもその内の一人だ。

そのＮさんがある日､訪ねて来た。

わざわざ訪ねて来たのだが､その用件が非常にユニークだった。

来ていきなり「仏性と魔性の違いはほんのちょっとの違いなんですって」と言った。

「紙一重というのでしょ」と言うと

「そうそう､その紙一重が二人とも出てこなくて」と言って笑った。

Ｎさんとその友人がスーパーで会った時の話で､四方八方（よもやま）話から

「仏性と魔性の違いは何だろう」という事なったらしい。

「どう違うの？」と尋ねた。

するとＮさんは「それがほんのちょっと違いだという事はわかるけど・・・」と言った。

Ｎさんとその友達はああでもない､こうでもない､とさんざん話したのだが

とうとうその「紙一重」が出てこないまま別れて帰って来たそうだ。

別れ際に「こういう事に詳しい人がいるから聞いて来るわ」と約束したという。

私は「紙一重の為に遠い所を来てくれたの」と言うとそれだけではない､と言った。

私は非常に興味の惹く話だったのでＮさんと向き合った。

Ｎさんは「同じ事をしていても魔性の人っているじゃない？」と言う。

私は「いるいる」と答えながらもどう説明すればいいかなと頭の中で考えていた。

そして次のように言った。

「魔性の人って最後の結果が違うのよね」と。

Ｎさんは「そうそう､最後が違う」と相槌を打つ。

同じ事をしているのにどうして違う結果になるのだろう､と二人で考えた。

Ｎさんは「魔性の人が参加していると途中で計画がダメになってしまったり､

最後が上手くいかなかったりする」と言う。

また､「上手くいっても何となく不愉快なものが残る」とも言う。

「何がそうさせるのだろう」と言った。

「魔性の人は自分の成果にしたいという下心があるからじゃないかな」と私は答えた。

結局「そうだろう」という所に落ち着いた。

後日知り合いのカウンセラーに話したところそのカウンセラーは笑いながら

即座に「終りが違うという事は初めが違うという事だ」と言った。

私は､なるほど､と思い苦笑いしたものだ。

魔性の人は初めから目的が他の人と違うから､途中からギクシャクしてくると

いう事なのだ。

仏性の人は自分でも気が付かないうちに良い結果に導きたい､

みんなで努力しているのだからみんなでさわやかな気分を迎えたい､と

いう思いが働くのではないだろうか。

自分達の意識のしない所で独りよがりな行動を阻止しようという心が

働くのではないかと私は思う。

「以心伝心」というのはこの事をいうのだろうか。

当然Ｎさんともこの事についても話し合ったのは言う迄もない。

みんなで何かする時にはリーダーがいればその人に従い､

少々自分の考えと違っていても取り合えずは一緒にやる。

その上で意見があれば意見として出して話し合う､という事の大切さを

実感したのだった。

私利私欲を捨てて一生懸命する時は良い結果になる事だけを願って

やる事の大切さを教えらたような出来事だった。