図書館で借りた本。
中国人の頭の中（新潮新書） 青樹明子著
著者は、元・サラリーマン新党代表 青木茂氏と生活経済評論家の青木淑子の次女やそう。
青樹 明子さんプロフィール
１９９５年から北京に語学留学し、９８年から中国国際放送局（通称北京放送）などの中国人向け日本語ラジオ番組のプロデューサー・キャスターなどを計１１年経験しはったそう。
中国人が、日本のことを大嫌い、なのに大好きな理由を説明してくれる。
１９７６年（昭和５１年）封切り公開された「君よ憤怒の河を渉れ」は、１９７９年に「追捕」というタイトルで中国でも公開され、文化大革命後に初めて公開された外国映画となったそう。
「追捕」は大変な人気を呼び、主人公の高倉健さん扮する杜丘冬人（中国語ではドゥチウドンレン）は憧れの的になる。
２０１４年に高倉健さんの訃報が伝わると、中国でも多くの人たちが追悼してはった様子はテレビでも見た。
山口百恵さんのテレビドラマ「赤い疑惑」（１９７５年－１９７６年）も「血疑」として１９８４年から中国で何度も放送されていて、百恵さんも礼賛されてるそうや。
それが、最近では「抗日ドラマ」が大流行。
中国のテレビドラマは当局の規制によっていろいろ変遷してるという。
２００２年から２００４年は「警察ドラマ」が人気やったけど、２００４年テレビドラマ審査管理規定に「警察ドラマをゴールデンタイムに放送してはならない」という新たな規定が追加される。
次に「古装劇（時代劇）」がはやると、２００６年「１年間に制作されるテレビドラマのうち、時代劇は１割を超してはならない」との規定追加が。
その次の「スパイもの」も、２００９年に「格調が低く、社会の混乱をまねく」と。
テレビドラマ制作者は、「抗日ドラマ」が政府の規制に対して最も安全だという結末に達したそうや。
「抗日ドラマ」とは、１９３０年から１９４５年にかけて旧日本軍から「中国の庶民を守る」共産党や軍の闘いを題材とするドラマやそう。
そこで描かれる日本人は、レイプを繰り返しつつ、中国人を容赦なく殺すというのが典型的なパターン。
抗日を題材にしたテレビドラマは、１９４９年から２００４年まで全部で１５０作で平均すると年３作やったのが、２００５年になると年間２０作、２０１２年には年７０作にのぼったという。
検閲機関からは「日本軍の残酷性、残忍性を強調するのはいいが、日本軍の軍事的クオリティに言及してはならない」と改定指示が出るそう。
抗日ドラマはどんどんエスカレートし、「抗日奇侠」ではアクションドラマ化。抗日の英雄が鬼畜日本兵を素手で引き裂いていくそう。
「箭弦在上」では特撮がふんだんに取り入れられ、美人抗日女侠が空を飛ぶという。
２０１３年ついに当局が規制し、歯止めをかけたそう。
大人の場合は、自分で判断ができるやろうけど、問題は子どもたち。
２０１０年に制作された子ども向けの抗日アニメ「我要打鬼子」（鬼畜日本兵をやっつけよう）は、親を亡くした１２歳の少年の村にやってきた貪欲で凶悪な３人の日本兵を、少年が仲間たちと力を合わせてやっつけ、村から追い出すストーリーだそう。
小さいころから「日本人は悪」という観念が植え付けられていく現象は恐ろしいと、著者は指摘する。
一方で、日本へ旅行する中国人の多くが「日本は、水も空気も安心安全、食べるものも安心安全、何を買っても安心安全。だから日本に行きたい」と言ってくれるという。
中国における日系企業のイメージは、残業が多い、給料が低い、管理が厳しい（時間厳守、公私混同するなかれ、アルバイトは時間外に）やそう。
家族中心主義やアルバイト収入が正規の収入とほぼ同額という中国と日本の慣習とのギャップが原因のことも多いという。
日系企業の魅力は、最高のビジネススクール、家族的雰囲気がある、福利厚生が充実していることと。
ＣＣＴＶ中央電視台の２０１４年度大学入試特別番組によると、この５年ほど受験生の人気を集めている専攻は、英語、コンピューター、電子商取引、心理学、そして日本語やそう。それも、興味があり、好きだからという理由やという。
観光地をめぐり、爆買いしてはる中国の人たちを見て、ちょっと眉をひそめてたけど、これからはもっと歓迎の気持ちで接しないとあかんなあと反省した。
日本を訪れてくれた人たちが、日本の姿を再認識して、中国でそれを広めていってくれはるやろうからなあ。
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