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photo by pooh0529さん 小雨の中を彷徨い歩く.... しっとり濡れた栗色の長い髪、まるで色のない顔、疲れたコート 水を含んだ黒革のバック、折れそうなハイヒール。 夕暮れ時、街行く人の視線は雨より冷たい。 時に振り返り、魂の抜けた女の背中を興味深くみる。 不気味な者を見るような眼差しとすれ違う。 獣を追うような視線、哀れな虚妄たち...冷笑する街。 モノトーンの夕暮れを、ただただ歩き続ける。 容赦ない雨が身体を痛めつけ、体温を奪っていく。 やがてコンクリートの壁にもたれかかる、薄汚れたワイン色の階段が 視界をのさばる。 たぶん、ネオンの多くに付けられた空間の名がそこにあったに違いない。 ふらふらと過去の余力で一歩を出す。 くびれた足首、パンプスの音は意思もなく吸収される。 上がる階段、下る階段。 もし、ほんの少し体力という不必要なものが残っていたなら... だから、ふらふらと降りてゆく。 闇への狭い不思議な空間に脅えることもなく、一歩一歩幻覚を踏みしめる。 目の前に立ちはだかる扉に、ほんの少し心が反応する。 「ここは...?」 続く (明日「たぶん、私は...」) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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