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星の髪飾り

星の髪飾り

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2006/08/05
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                   photo by pooh0529さん      

 小雨の中を彷徨い歩く....

しっとり濡れた栗色の長い髪、まるで色のない顔、疲れたコート

水を含んだ黒革のバック、折れそうなハイヒール。 

 夕暮れ時、街行く人の視線は雨より冷たい。

時に振り返り、魂の抜けた女の背中を興味深くみる。 

不気味な者を見るような眼差しとすれ違う。 

獣を追うような視線、哀れな虚妄たち...冷笑する街。


 モノトーンの夕暮れを、ただただ歩き続ける。 

容赦ない雨が身体を痛めつけ、体温を奪っていく。


やがてコンクリートの壁にもたれかかる、薄汚れたワイン色の階段が

視界をのさばる。

 たぶん、ネオンの多くに付けられた空間の名がそこにあったに違いない。

ふらふらと過去の余力で一歩を出す。 

くびれた足首、パンプスの音は意思もなく吸収される。

 
上がる階段、下る階段。

もし、ほんの少し体力という不必要なものが残っていたなら...

だから、ふらふらと降りてゆく。

 闇への狭い不思議な空間に脅えることもなく、一歩一歩幻覚を踏みしめる。

目の前に立ちはだかる扉に、ほんの少し心が反応する。 

「ここは...?」

                            続く
                            (明日「たぶん、私は...」)





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最終更新日  2006/10/23 11:23:08 PM
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