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星の髪飾り

星の髪飾り

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2007/04/12
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「あっ、それいいっすねえ! やりましょうよ香川さん!」

「賛成!十代、二十代、三十代、それから裕子さん!」

 奏は矢沢の勢いに釣られて弾むように言った。

「どうしてこういう展開になるのかなあ?ドラム、やっぱり必要?」

「ベースとドラムは影、引き立て役。わかるっしょ?」

「花で言うと、かすみ草かあ・・・・・・ナイトの後藤君に頼もうかね」

「駄目だよ!自分のバンド持ってるから、無理言えないし」 

 竜也がきっぱりそう言うと、千尋もにっこり微笑みながら頷いた。

少しの沈黙の後、裕子はゆっくり顔を上げた。 そして不安げに四人を見た。

「私はね、天からのくじ引きを引いていないのよ。つまり、音楽の才能の当たりくじ」

「そんなもん、誰も引いてないよ! それに裕子さん、度胸も才能のうちじゃん?」

 裕子は、強気で喋る竜也に何か言いたいのに言葉が出てこない。

むずがゆい。けれど決断を強いられる今は掻くこともできない。(ああ!寿命が縮まる~)

短期決戦。 メンバーの足を引っぱるようでは申し訳ない。 それでも心臓の底の方から

「やって、やれないことはない!」という気持ちがふつふつと湧いてくる。



「わかった。 私、やる」

 裕子がいつもと違って落ち着いた口調で言った。 

どっと湧いた歓声の中、裕子は信用金庫の名前が入ったセンスのないカレンダーを見た。

(竜也は私の肩をポン!と叩いて、きっと言う『言い出しっぺだから、やるしかないね』)


「ルールその一。 バンド内恋愛禁止」

「ええっ! それってありー?」 (わかりやすい奴だ)

「何おまえ、何かまずいことあるの?」

 矢沢は速やかにふたりの既婚者を削除した。

「ああ!そういうことだったのー?」

 奏は突然やってきた視線の束に戸惑いながら、微妙に心の動きを見せた。

「バカね、竜也ったら!」

「急に話し替えて、やっぱ嫌な性格」

 裕子は、お台場の夜景にしっくり馴染むふたりを想像した。

それどころではないと思いつつ、スティックを握るもう一人の自分を浮かべては身震いし、

整わない回線に少し焦る。

そして賑わいだテーブルに頬杖をついて、誰を見るともなくただ微笑んでいた。

                 撮影kitakitune05さん





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最終更新日  2007/04/12 07:13:04 PM
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