イラン人の眉毛に関する考察


私、とある絨毯の本を見ました。イラン上陸を果たしていなかった頃の話しです。
そこには、古いペルシャ絨毯の写真が載っていました。
それは、アフシャル朝の王、ナデール・シャーを描いた絨毯でした。

「何だッ!これは!」。その時、理解不能の違和感が私を襲ったのです。

この王様には、左の眉毛は在るが、右の眉毛がない?
イヤ、待てよ!違うぅー??
右の眉毛は在るんだ。して?左がないの?ウーム?

「オーイ!ルーペ何処だった?虫眼鏡だよッ!」

「おぉー!こりゃよく見える。どれどれッ」

いくらよく見ても、確かに眉毛は在るのだが、それは左なのか右なのか判然とはいたしません。
「ん?ありゃー!」新たな驚愕的事実の発見です!!

王の他に、家来と思しき人物が二人。このうちの一人もやはり!
またまた、妃らしき夫人、第二夫人、第三夫人、これらの女性のうちの一人も・・・・。

事ここに至っては、絨毯の織り間違いの類や印刷のミス、はたまたヨゴレでもないと思われるのです。

そうなんです。確かに絨毯に描かれているこれらの人物の「眉毛は真一文字に繋がっていた」のです。

物忘れの至ってよろしい私は、その後、この摩訶不思議な体験などすっかり忘れてイラン行きを決行したのでした。

カシャンの町に行った時のことです。ある友人の家に招かれました。
私は、彼の奥さん並びにお嬢さんと思われる人影を目撃は致しました。チラッとネ。
しかし例によって、チャドールに身を隠し、紹介もされないので「らしき人影」でしかありません。テヘランとは大きな違いです。

それはともかく、そのお嬢さんのご主人が現れた時なんです。
私は、ハッと息を呑み呆然と立ち尽くしたのです。挨拶するのも忘れて・・・・。。。

そこには、とっくの昔(1747年)に死んだはずのナデール・シャーがにっこりと微笑み、握手を求めているではありませんか。

「サラマレコム。ハレーショマーブベ?」
「メルシー。へィりフベ」なんて挨拶しながらも、私はと言うと完全に「うわの空」。
「あの絨毯だ!!!」とつぶやいていたのでした。

かの絨毯の記憶が忘却の彼方から蘇ると共に、私の中の「世界の七不思議」のひとつが氷解していくのでした。
それからと言うもの、私の情熱は、イラン人の眉毛の観察に注がれたのは言うまでもありません。

注意を払えば、これまで見えなかったものまで見えてくるものなんですネェ。
「あの男性、見た~ッ!」「おッ、この御仁もだーッ」ってなもんです。

イスラム圏においては、成人男子の象徴として髭を蓄えている人がほとんどです。中でもイラン人、髪の毛も黒く、額も狭い方。
眉毛が繋がっている人は当然毛深いのてすからして、このお方、顔中毛だらけといっても過言ではないでしょう。

更に、これはごく稀なケース、とはいえ「ヤンバルクイナ」や「琉球山猫」のように発見には非常な困難を要するというほどではないのですが、いらっしゃるのです。女性が。
チャドールの隙間から見てしまいました。

突然ですが、皆さん、この話題はこの辺で終わらせていただきます。

<お断り>
眉毛の問題は、彼らの単なる身体的特徴にしかすぎず、身体的欠陥では決してないばかりでなく、ましてや人格的欠陥ではないことは言うまでもありません。
私の知人の義理の息子さん本当に真面目でいい人です。他の方々も私の愛してやまないイラン人と思われます。
少し面白おかしく話題にさせて頂いたこと、ここにお詫び申し上げます。




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