恋に落ちる瞬間のときめきでしかなかった
白状しますと、完全に参りました。恋をしました。大変です。一瞬の熱だと思って何度も何度も(エンドレス)聴いてみたんですが、やっぱり何度聴いても胸の奥底がキュッとするんです。ここ数年ロキノンからはまったく遠ざかっていましたが(だって過去インタビューの再録ばっかりだし新譜紹介は少ないしワクワク感ないし、ライヴレポも上っ面なぞっただけだし、すっかり骨抜かれた感じ)、何となく手に取ったときに、ちょっとだけ紹介されていたので、「Brigitte Calls Me Baby」というバンドの名前だけは覚えていました。で、先日タワレコ渋谷に行った際、お目当てのStarsailorの新譜をつかんで通り過ぎようとした試聴機の中にこのアルバム「THE FUTURE IS OUR WAY OUT」を見つけたのです。「Smithsの~」とか書いてあったキャプションに妙に目を引かれ、聴いてしまったのが運の尽き。久しぶりの、「なにこれ…好き…!!」の感覚でした。この甘くて切ないギター。そうですね、スミスっぽいですよね。それにこの朗々と歌い上げる芳醇なヴォーカルは何ですか?モズ様の薫りぷんぷんするじゃないですか。そして全体を通して漂う、どこか懐かしい雰囲気。一瞬、シナトラですか?プレスリーですか?みたいな伸びやかな部分もあって、もう私に買わない選択肢はありませんでした。しかしこのバンド、シカゴ出身なんですよね。それもまた驚きでした。なんでそこから出てきたの?しかも佇まいまで80’sっぽくて、もうツボでした。ジャケットデザインも最高。アルバムタイトルにもなっている「The Future Is Our Way Out」の出だしがいきなり「Now the end is here」という時点で、嫌いなわけがありません。No more life / dreams / seeing/ hearing/ hope と歌い上げながらも「Oh such a joke, such a cruel joke」で締める。たまりません。ひとりで悶えるくらいにはたまりません。私がどうしようもないほど好きでたまらない一曲が「I Wanna Die In The Suburbs」なんですが、「きみのガレージで死にたい」のに「ひとりで死にたくない」。つまりは「死ななきゃならないなら、きみと一緒に死にたい」んですって。試聴機でこれを聴いた瞬間にスミスの「There is a light~」が頭をよぎってしまって、ここからもう彼らの音に魅了されてしまったのです。一曲解説してたら日が暮れそうな勢いなのでやめておこうと思いますが、どの曲もポップで耳に残るメロディなのに、描かれる世界は微妙に捻じれて歪んだ愛の有り様。こういう重たい愛、大好きなんです。こういうので夢見ていたころがありました。それを想起させるから、余計に彼らの音が刺さるのかもしれません。歌詞がついていないのですが、ネットを漁り、自前で歌詞カード作りました。そんなことしたのSuede以来です。そしてアナログも欲しい。そして来日を切に求む。