年を経てなお彼の音が好き
Dylan Mondegreenの6枚目のアルバム「A Sound Rings True」がリリースされました。日本ではfastcut recordsさんが彼自身のレーベルと共同で出してくれるということで、日本人で良かったと感激。待っていた甲斐があったと実感する、爽やかで、清涼感とほろ苦さをまとった素晴らしい一枚です。1stとかのキラッキラ感も大好きなのですが、年を経るごとにシンプルでストレートな音になっていく彼の音楽、たまりません。私も一緒に年を取っているので、たまりません。笑彼の音は、北欧ならではの涼やかさが最大の魅力だと思っています。どんな曲でも、吹き抜けていく清涼感が心をクリーンにしてくれるような気がします。そして、ネオアコやギターポップの枠に収まらない、スムースでジャジーな音も、本当に魅力的。今回のアルバムですが、単なるラヴソングだけではない詞の世界が私の心にしみました。表題の「A Sound Rings True」などはまさにそれ。見た目とレビューの良さだけで買った、誇りを被った本なんかじゃなくて、ストレートに輝く言葉が欲しい。若い頃に聴いていた音楽をもう一度聴いて、それが若者のためだけの音じゃないって思う。(私の解釈ですが)年を取ったからこそ書ける詞なのかなあと思い、それに共感する自分もまた年を取ったのだなあと思うのですが、やっぱり、シンプルで率直に生きたいなあと感じるわけです。また、お姉さんに向けたのかな?と思しき「Sister」も良いです。家族愛にほろりとします。かと思えば、「Aura」のように、かつて輝いていた友人?同級生?に向けた曲のビターなところもグサッときます。何だか自分の痛いところを衝かれたような気もして、何というか…こう…生きていく毎日のところどころで感じる虚しさを、この曲に指摘されたような気がしました。ラヴソングにしても、爽やかなのにほろ苦いんです。どうやったらきみに赦してもらえるのか、ぼくは何ができるというのかと切なく紡がれる「To Change Your Heart」や、ぼくはきみのテストにパスしたはずなのに、なぜきみはぼくに連絡してきてくれないのかと吐き出す「Moleskine Notebook」、きみのことはもう乗り越えたんだよと言うのにどこか切ない「Over You」。こういう曲たちは、やはり、年の功がないと出てこないのですよ。と私は思います。そして、そんな曲に胸をぎゅーっとつかまれてやまないわけです。それにしても、1st以来、ずっと好きでいられる音を届けてくれる彼は本当に素晴らしい。1stを見つけたときの興奮、ライヴを観た感激、今でもまだありありと思い出せます。オフィシャルのメルマガに私がUPしたレコードの写真を使ってくれたのも嬉しすぎて倒れそうです。ありがとう。