2020/09/24(木)13:56
読めない人はいませんね?★「忠臣蔵」('58年 大映)
最近、ある雑誌を読んでいて大いに驚いたのですが、
若い人の中には、この下の漢字が読めないって人がいるそうですね。
「忠臣蔵」
「おのおのがた、それでも日本人かあ~~!?」ってなものです。
モイラのブログを読まれておられる方には、
よもや「えー、この字なんて読むの?わかんなーい!」なんて方は、おられないと思いますが、
念のため書いておきましょう。「ちゅうしんぐら」です。
ご存知「忠臣蔵」は、数百年にわたって我々日本人の胸を熱くし、
時代が変わっても変わらぬ人気を得てきた物語。
赤穂浪士たちがかなり美化されているだろうとはいえ、
一応、史実に基づいて作られた物語ゆえ、重みがあります。
刃傷松の廊下、赤穂城無血開城、雪の夜の討ち入りなど、名場面も満載。
観る側の心を揺さぶります。
この「忠臣蔵」、無声映画の時代から、もう何度となく映画化されてきました。
数ある「忠臣蔵」の中でも、溝口健二監督の大作「元禄忠臣蔵」を、
最高傑作と賞賛する映画ファンも多いですが、
モイラがもっとも印象に残っているのは、超豪華オールスターキャストで放った
1958年 大映の「忠臣蔵」です!
【新品】【DVD】忠臣蔵 長谷川一夫
大映創立18周年記念の大作オールカラー映画で、
とにかく出演陣がすごい!
大石内蔵助に長谷川一夫、浅野内匠頭に市川雷蔵、
吉良上野介に滝沢修、 赤垣源蔵に勝新太郎、
岡野金右衛門に鶴田浩二、 、大石りくに淡島千景、長男主税に探検隊の川口浩、
他にも、京マチ子、若尾文子、山本富士子、中村玉緒といった大映スター女優が勢ぞろい、
その上、川崎敬三、船越英二、高松英郎、中村雁治郎、林成年といった、大映映画ではおなじみの顔ぶれに加えて、
小沢栄太郎、志村喬、田崎潤、東山千栄子など、
ひとくせもふたくせもありそうな名脇役でかためているのだから、
相当の熱の入れようですよ、これは!
キャスティングを見ているだけで、頭がクラクラしてきます。
長谷川一夫はもう言わずと知れた銀幕の大スタアで、
林長次郎と名乗っていた頃はもちろん、50歳を過ぎてからも、その存在感と美しさで、多くの観客を魅了してきたのですが、
この作品の主役である大石内蔵助役も、あたり役の一つでしょうねえ。
「昼行灯」と部下たちから揶揄され、お城ではぐうたらしていることが多く、
馬に乗るのが下手で、そのくせ女好きで、女に乗るのは大好きだったという大石内蔵助‥‥
史実ではお世辞にもカッコ良いとは言えなかった大石を、
ほどほどにカッコ悪く、ほどほどにカッコ良く演じていました。
吉良方の目を欺くため、一力茶屋で遊びほうけ、
三つ指ついて出迎える妻のりくに、「ぬかみそ臭い古女房など、あきあきしたわ!」と、
心にもない罵声を浴びせ、あとで障子の陰で一人「許せ、りく‥‥」と、涙する姿に、
モイラも涙が出ました。
忠臣蔵の真相については、諸説万端いろいろあるようですね。
「刃傷のそもそもの原因は、吉良と浅野が美しい小姓をとりあったこと」とか、
「浅野が詰め腹切らされた時、赤穂の領民は『あの暴君が死んだぞ!』と大喜びし、赤飯炊いて祝った」とか、
「あの時代、まだ一力茶屋は京都になかったので、大石が一力茶屋で遊んだのは嘘」とか。
しかし、かなり信憑性があるのは、忠臣蔵で悪役となってしまった吉良上野介が、
地元では「名君」と讃えられていたこと、
そして、浅野内匠頭は、ちょっとヒステリックで頭に血が上りやすい人だったということです。
モイラのお知り合いの映画人に、吉良上野介の領地・愛知県吉良町出身の方がおられますが、
ひとたび「忠臣蔵」の話になると、「あれは浅野が一方的に悪い!」、「忠臣蔵は嘘だらけだ!」と、めっちゃ興奮されます。
まあ、お気持ちはわかるのですが‥‥