カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
戦後推理小説の帝王・松本清張は、悪女を主人公とする傑作も、数々世に出しました。
そのひとつが、「けものみち」。 '65年に東宝で、和服の似合う美しい熟女の代名詞と謳われ、お茶の間の人気をかっさらった池内淳子主演で映画化されております。 送料無料!!【DVD】けものみち/池内淳子 イケウチ ジユンコ 外ではホテルの仲居として働き、 家では病気で寝たきりの夫の看病をし、生活に疲れ切っている女・民子(池内淳子)。 ある時、知的な美貌とどこか孤独な翳を秘めたホテルの常連客・小滝(池部良)に唆され、 寝たきりの夫を自宅ごと焼き殺し、彼の後押しで、身体の不自由な大富豪の老人鬼頭(小沢栄太郎)の世話係兼愛人となる。 夫との憂鬱きわまりない貧しい生活から一変して、豪奢な生活を味わい、 天にも昇る思いだったが‥‥ 鬼頭老人は政界の黒幕中の黒幕で、 彼の囁きひとつで、大物政治家の息さえ止めることのできるほどの人物だった。 そして、今や民子にとって「心の恋人」となった小滝の正体は‥‥ 貧しい暮らしと鬱屈した精神状態から何とか抜け出したい一心で、 残り少ない色香と、あせる一方の美貌を精一杯利用し、 恐ろしい犯罪に手を染め、天国行きの列車のチケットを手にしたと思いきや、 行く先は天国どころか恐ろしい地獄だった女の運命を、 かなり突き放した、ドライなタッチで描いています。 「自分が女として出世したのは、自分に女としての魅力があった上に、頭が良かったから」と、 思い切り勘違いした、ちょっときれいなだけの女の浅はかさ、哀れさが、 池内さんの一挙手一投足や台詞の端々に出ていますね。 池部良さんはこの作品でも相変わらずの大根ぶりですが、 「ちょっと見だけは良い非インテリ女をたぶらかす、インテリ左翼崩れの悪漢」を、 不器用ながらに好演しています。 民子に夫殺しの疑いを向け、執拗に追い回すも、 彼女の匂うような色香に参ってしまう刑事役の小林桂樹も、名演でした。 しかし‥‥悪女になりきれなかった普通の女の末路は、悲惨です。 やっぱり悪女なんてものは、ごく一握りの選ばれた人しかなれないもんなんですね。 モイラの安納芋のお店もよろしく♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Oct 13, 2009 08:22:42 PM
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