2020/10/29(木)19:25
狂気の果てに★「反撥」
こんばんは、映画狂のモイラでございます。
今夜の名画は、ロマン・ポランスキ監督の「反撥」('65年)です。
【中古】 反撥 REPULSION /カトリーヌ・ドヌーヴ,ロマン・ポランスキー(監督、脚本),イヴォンヌ・フルノー,イアン・ヘンドリー 【中古】afb
姉とアパートで暮らすキャロル(カトリーヌ・ドヌーヴ)は極端なまでの潔癖症で、
姉がしばしばアパートに恋人を泊めることや、
自分のボーイフレンドがキスをすることでさえ、怖気を震うほど嫌がっていた。
ある時、姉は恋人と旅行に行き、アパートにはキャロル一人残された。
そんなキャロルは、夢の中で男にレイプされ、彼女の横顔には次第に狂気の翳が‥‥
この作品、モノクロなんですが、モノクロゆえに変にリアルで怖かったです。
特にぞっとしたのが、キャロルがアパートの灯りのスイッチに手をかけたら、
壁にバリーッとひびが入ったり、
やわらかくなった壁から、モコモコと人の手がいくつも出てくるシーン。
一人きりのキャロルがアパートの中で何ひとつ口にできず、
次第に芽を出していく冷蔵庫のじゃがいもも、不気味でした。
ポランスキのシナリオも秀逸なのでしょうが、
カメラワークが素晴らしかったですね。
とにかく、小道具の一つ一つが「怖い」のです。
キャロルが勤務先(ビューティーサロン)で使う爪切りの動きも、
「次に何かとんでもないことが起こるんじゃないか‥‥」と
ハラハラさせるほど、怖かったです。
キャロルを演じたドヌーヴも、美しかったですね。
一人で薄暗い部屋にとじこもり、次第に精神に変調を来たしてゆくのですが、
狂気に陥れば陥るほど、ますます美しくなるのですから、不思議です。
ポランスキ監督は、女優の美しさをこれでもかとばかりにひき出す天才ですね。
「フランティック」のエマニュエル・セニエも、はっとするほど美しかったです。
これからますます寒くなるこの時期に、さらに寒くなりたい人には、超おすすめの名作ですね。
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