カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、映画教のモイラでございます。
今宵お届けする名画は、名脚本家・高田宏治のオリジナル・シナリオを 名匠・五社英雄監督が演出し、 作詞家の阿久悠がスーパーバイザーを務めた大作 「北の蛍」でございます! 明治16年、開拓途上の北海道では道路・鉄道建築にあたり、屯田兵だけでは労働力が足りず、 道内の監獄の囚人達が労働力として充てられていた。 石狩平野・空知の樺戸集治監(監獄)では、 博多出身の成り上がり者の典獄(刑務所長)月潟剛史(仲代達矢)が 囚人達を虫けらのように扱い、”鬼の典獄”と恐れられていた。 そんなある日の冬のこと、月潟はゆう(岩下志麻)という 明治維新の頃は京都祇園でその名をはせた芸妓が、雪の中で倒れているところを助けた。 月潟はゆうを情婦すま(夏木マリ)が女将をしている女郎屋へ預けた。 実はゆうは、樺戸集治監に収監されている情人、 元津軽藩士のアナーキスト・男鹿孝之進(露口茂)を赦免させるために、月潟に近づいたのだった。 ゆうは内務省の開拓副長官・石倉武昌(丹波哲郎)と寝る代わりに、 男鹿の赦免を月潟に要求した。 そんな折、月潟は集治監の監守となって潜り込んでいた元新撰組副長・永倉新八(隆大介)らに襲われ、 眼に重傷を負うのだった…… モイラはこの映画をリアルタイム(つまりロードショー)で観たのですが、 明治16年って、まだ幕末の混乱を引きずっていた時代だったことが、 痛いほどわかりました。 典獄の月潟は元博多の下級武士で、ぺーぺーの平巡査からのたたき上げ、 副典獄の木藤勘兵衛(成田三樹夫)は薩摩藩の出身で、これまた成り上がり者、 囚人の中には、旧会津藩士で国事犯の正木(三田村邦彦)がいて、 彼は独裁者・月潟の命によって斬首刑に処されるのですから…… 囚人達は実に哀れでしたね。 極寒の地で、着ているのは橙色の薄っぺらい囚人服一枚、 履いているのは、草鞋だけ。 そして足首には鎖と重い鉄球。 そんな姿で大雪の中、重労働をさせられるのですから…… これには監守長の各務(夏木勲)も哀れに思い、 囚人達に手袋と股引を着させるように、月潟に頼むのですが、 鬼の月潟は一蹴するのです。 北海道の開拓で、囚人の中で大勢の死人が出たというのも、大いに頷けます。 北海道へ送られた囚人達を追ってきた恋人の女達も、実に哀れでしたね。 少しでも監獄にいる恋しい男の近くにいたい思いから、 監獄近くの女郎屋に住み込み、苦界に身を沈めるのですから…… 森進一が絞り出すように歌う「北の蛍」(作詞・阿久悠 作曲・三木たかし)をバックに、 囚人達が編み笠をかぶせられ、鎖で数珠つなぎにされて大雪の中を歩かされ、 その中で恋人の弥吉(佐藤浩市)の姿を探し求め、泣き崩れる娘せつ(早乙女愛)を観た時は、 モイラも思わず泣けてきました。 モイラ、基本的に演歌は嫌いなのですが、この「北の蛍」は気に入りましたね。 ナレーションは白血病で夭折した夏目雅子。 キャスティングは、男優陣は宮内洋、益岡徹、阿藤海、山谷初男、月亭八方、稲葉義男、 そしてこの映画が遺作となってしまった小池朝雄(モイラの大大大好きな役者の一人)と、実に豪華です! 女優陣も、岩下志麻、夏木マリ、早乙女愛は無論のこと、 中村れい子、高沢順子など、艶っぽい方々を揃えてましたね、 夏木マリや早乙女愛が、大胆なヌードを披露したことでも話題になりました。 土佐弁を使う女郎屋の女将で銭の亡者の夏木マリさん、実に色っぽかったです。 この女のモイラが見ても、艶やかでしたもの…… 北海道開拓の歴史の勉強にもなるし、 お色気満載の娯楽作品としても愉しめる一作ですよ!! にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 28, 2022 10:19:45 PM
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