三浦綾子「帰りこぬ風」
「一生に一度も転んだことのない人間は、いないんですよ」
三浦綾子「帰りこぬ風」
人間にとって、転んだことは恥ずかしいことじゃない。 起き上がれないことが恥ずかしいことなのだ。 人間は、向上したいと思うこともあるが、堕落したいと思うこともある。 「生きることをやめる権利は、人間にはありませんよ」 「生きているうちに、生きること」 「誰のためにも涙も汗も流さない人間が、いくら平和を叫んでも、ぼくは信用しない」 日に二十組もの結婚式があると聞く。一体、どんなふうに男と女が出会って、結婚に至るのだろう。この結婚のかげに泣く人が、一人もいないだろうか。 男は、本気で愛している女には、決して、たやすく手を出せないものだ。 愛した男性は、愛した日のままの姿であってほしい。これが、女のねがいなのに。 |