遠距離看護

今日はあの人のお誕生日です

元気なころ誕生日はいつも一緒に過ごしていました

病院で2回目の誕生日を迎えるなんて思ってもいませんでした

それでも

病院へ行く事ができるのはとても幸せです

病室が変わって

あの人のお部屋には詮索好きなおばさんがいます

いままでそのおばさんのいないときでしたから

顔を合わすことは無かったのですが

今日はまだ病室にいらっしゃいました

廊下からみたら目を開けてる様子

仕切りのカーテンが開けられているので中に入る事ができません

仕方なく

Yさんのいらっしゃるお部屋に行きました

「もうすぐ帰るころなんだけどネエ」と

私も今日はゆっくりできないので元気そうなのが垣間見れただけでもよしとしよう

そう思っていました

お誕生日プレゼントに用意したタオルYさんに託けてもう一度病室の前を通ってみました

例のおばさんの姿がみえません

あの人のベッドに近づいて顔見ました

これから暑くなるから丸坊主にされたあの人は大きな目を開けて横たわっていました

「○○こだよ　わかる？」

見る見る泣き顔になってうなずいてくれました

『○○こ』

「しんどい？」

『しんどい』

「いたいの？」

『んー　いたい』

また気管切開されているので聞き取り辛いのですが

口はそう動いています

「chuは？」

そういうと唇突き出して右手を伸ばしてchu

右手は手袋はめられているので脱がせてあげると

しっかり握り返してくれました

「また来るから　まっててね」

頷いてくれました

振り返ると帰ったと思っていた例のおばさんがやな笑い顔浮かべて座っていました

あのおばさん

明日はなんて家人に言うのかなあ

ここまで来たら何いわれもいいや

会えてよかったんだから

ちゃんと私のことわかってくれたんだから