第101回全国高校野球選手権大会 神村学園2回戦
神村、追い上げあと一歩文 政純一郎氏 第101回全国高校野球選手権第7日は8月12日、阪神甲子園球場で2回戦4試合があった。 鹿児島代表の神村学園は第4試合で高岡商(富山)と対戦。序盤から守り合いだった中、4回に2点を先制され追いかける展開に。終盤追加点を許して3点差で迎えた9回表に代打・井上の中前適時打などで1点差まで迫り、なおも二死一三塁と一打同点、勝ち越しのチャンスだったがものにできず、夏の甲子園2勝目は果たせなかった。◇2回戦神村学園 000 000 102=3高岡商 000 200 11 × =4※試合の詳細はこの文字をクリック!PR エース荒井を中心に1点差を守り抜いた高岡商、我慢強く戦い抜いて1点差まで追い上げた神村学園、両者に拍手を送りたくなる好ゲームだった。 神村学園は高岡商のサブマリン・荒井の力投をなかなか攻略できなかった。右打者が内角を強気で突いてくるボールを打ちあぐね、5回一死まで1本のヒットも、1人の走者も出すことができなかった。 打てなくても守備で我慢して流れを作る。4回に死球、暴投と珍しいバッテリーのミスが続いてピンチを招き、2本のタイムリーで2点を失ったが、捕手・松尾将が2つ盗塁を刺すなど相手の攻め気を封じる積極的な守備はできていた。 その我慢がようやく攻撃につながったのが7回だった。2本のヒットで一死一二塁と初めて複数の走者を出すと、6番・松尾駿がそれまで各打者が打ちあぐねていた初球の内角直球を狙いすましたように中前に弾き返し、反撃の口火を切ったかに思われた。 だがその裏、先頭打者に初めて長打を浴び、一死三塁と再びピンチを招く。こちらは相手のサインミスで二死となり、ピンチを脱したかに見えたが、そこから3連打を浴び、追加点を許す。8回にも犠牲フライで3点差とされた。 残すは9回表の1イニングのみ。神村は先頭の途中出場の4番・仲間が死球で出塁。意表を突く盗塁で二塁に進む。二死三塁となり、7番・田中天の三塁強襲タイムリーで2点差とした。8番・松尾将はセカンド後方のフライ。万事休すと思われたが、二塁手がまさかの落球で二死ながら一三塁と一気に流れを引き寄せた。代打・井上がしぶとく中前に弾き返し、1点差としてなお一三塁と一打同点、逆転とチャンスが広がり、1番・森口を迎える。ベンチも一塁側アルプスも粘りの逆転劇へ最高潮のムードとなった。森口は追い込まれながらも粘って右方向へ良い打球を放つが、二塁手の正面。反撃もここまでだった。 3点差、残る攻撃は1イニング、鹿児島大会準々決勝・大島戦の逆転サヨナラ劇を彷彿させる展開だった。同点、逆転こそならなかったが、個々の力が過去の先輩に及ばず「史上最低」(小田大介監督)から厳しく言われ続けたチームが1年を通して全国でも通用する粘り強さを身に着けたことを印象付けた好勝負だった。週刊朝日増刊 甲子園2019 2019年 8/15号 [雑誌]価格:500円(税込、送料無料) (2019/8/16時点)楽天で購入