カテゴリ:音楽
「それでね、ベートーヴェンが耳が聞こえないという話をもう少し聞かせて下さい」
「晩年は聞こえなくなっていたようだがな、遺書を書いた当時はそれほどでもなかった」 「分かりますか」 「有名なハイリンゲンシュタットの遺書にも、耳鳴りがして、音を聞き取りにくいことがあると書いてある。『遠くで鳴る角笛が、みんなには聞こえて私にだけ聞こえない』という程度で、それほどまでに深刻な事態ではないようだ」 「へえ、それなのになぜ遺書を書いたんですか」 「兄弟喧嘩が原因らしいぞ。出版社をやっている弟がいてな、出版を巡ってトラブルがあり、喧嘩別れになった。その仲直りのために、心配させようとして書いたものじゃよ」 「死ぬ気はなかった」 「そう。遺書ならもう一人の弟の名前も出ていいのに、どこにも書かれていない。私はこんなに滅入っているから、仲直りしてくれっていうつもりで書いたのじゃろう」 「そうなんですか」 「その年の作品に交響曲第4番、二つのロマンス、とても意欲を失った作曲家の作品じゃないね。たぶんわしの推理が当たっているじゃろう」 「真面目な話でちっともおもしろくないね。今度はモーツァルトのかみさんが白菜だったという話を聞かせて下さい」 「白菜ではない」 「キャベツかね」 「悪妻だ」 「そうとも言う」 「そうしか言わないよ。じゃあ、次の機会にはモーツァルトのかみさんの話をしようか」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.02.26 08:45:48
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