【粗筋】
継母おせんの好意をことごとく誤解してぐれた常吉、おきんという女にそそのかされておせんの十五両をだましとる。おきんと共に旅に出ようとする常吉に、おせんは生母の形見の赤い風車を笠につけてやる。常吉はおきんのヒモ・仙吉に谷川へ叩き落とされるが、笠が体をささえるように水に浮いているところを助けられた。
おせんの愛に気付いた常吉が大急ぎで家へ帰ると、おせんは両手をまっすぐ空へ上げ、重いものを支えるような恰好で、水につかったようにぐっしょりと汗に濡れて息絶えていた。「おっかさん」と子供のように泣きじゃくる常吉の背中で、風車が風もないのにカラカラカラと小さな音をたてて回った。
【成立】
平岩弓恵作。林家彦六(正蔵8)により初演。昭和40(1965)年、芸術祭の賞に輝いた作品で、村上元三、山田洋次など、文壇や映画界の作家による新作ブームを呼んだ。
【蘊蓄】
手にとればそなたにより吹く風車めぐりあふべきしるしとぞ見ん(草根集)