【粗筋】
新婚さん専用ホテルが出来たってんでカメラマンと二人で取材に行く。まさか新婚さんがインタビューに答えてくれないだろうと思っていたが、結婚の記念になると、何組かが応じてくれた。
最初のカップル。彼女は服を全部脱いで絵のモデルをしていた、つまり、裸一貫で働いていた。旦那の方は風呂屋の番台で見慣れているはずなのに、彼女のスタイルに惚れこんだ。彼女の方も風呂屋の若旦那で清潔感がいいと、風呂の中でぼーっとのぼせていた。それで風呂の中でフロポーズした。
次のカップルは消防士の夫で、火事で逃げ遅れた女性の胸に火がついて結婚。
次は石焼き芋を売っていて、帰りにおでん屋で一杯やっていた。お芋屋さんとおでん屋の屋台の女将のカップル。二人とも連れ合いに死に別れて子供を一人で育てたという、再婚カップル。奥さんは高橋おでんといって、なかなかの器量良し、言い寄る男が多かった。
「おい、そんなことがあったのか」
「まあ、焼いているの」
「芋屋だからなあ」
結婚が決まって息子と娘に紹介したら、その息子と娘が愛し合って結婚、結婚式も一緒に挙げて、旅行も一緒。隣の部屋に泊まっているというので、一緒にインタビュー。
「息子さんのお仕事は」
「ガス会社に勤めていました」
「お父さんが石焼き芋で、息子さんがガスですか……いましたってことは、今は」「結婚を機に会社を辞めて、二人でおにぎり屋さんを始めたんですが、お陰様で好評で」
「息子さん夫婦はおむすびですか」
「これが本当の縁結びです」
【成立】
昔々亭桃太郎(1)の創作落語。昭和39年の作品。