【粗筋】
天王寺の近くでは、外国人が多くなり、屋台も外人ばかり。怪しい外国人が怪しい物を売っている。インド人の店では、
「そのパンみたいなのはなんですか」
「これはナンです」
「何なんですか」
「ナンなんですよ」
ロシア人の店では、北方四島を売っている。
「二島だけでいいと言ってますが、一つも返って来ません。二島追う者は一島をも得ず」
その中でイラン人は臓器を売っている。
「どうですか、噺家の肝臓。いくら飲んでも酔いません」
「酒代が掛かるがな」
「それ4キロありますね……間違えました。一里(一理)ありますね……こちらどうですか。腎臓です」
「天然物かいな」
「はい、天然物もありますが、人造腎臓もあります。大事なのはチンチン電車です。体のいい所は残して、悪い所を取り換える。チンチン電車です」「それは新陳代謝や」
「階段を駆け上がると心臓ドキドキしませんか」
「誰でもするやろ」
「心臓なら国産、外国産、何でもあります」
「頭痛くなってきた」
「それなら脳みそ取り変えましょう。ノーベル賞取り損なった人は50万」
「その隣の随分小さいが、それは」
「これは800万になります」「高いなあ。どういう人の脳みそや」
「森元総理の脳みそです」
「どうしてそんなに高いんや」
「一度も使ったことありませんから」
「その脇のタッパに入っているのは」
「これは合わせ味噌です。キロ30円です」
「誰と誰のや」
「間寛平と坂田利夫」
「使えへんわ……帰るわ」
「帰るって、何か買って下さい」
「イラン」
【成立】
桂文珍が演っていた。駄洒落満載で、それだけで作った感じ。タイトルから臓器下さいなとサクラが現れるかと思ったら、移植した人がみんな花見を楽しんでいるというだけだった。若い人はタイトル分かるのだろうか……年寄ばかりの席で演った?
【蘊蓄】
俺になき臓器のひとつ桜咲く 瀧春樹