【粗筋】
亭主らの様子がおかしい。林さんの亭主は結婚して一度も虫歯なんかなかったのに、急に歯が痛いと毎日歯科医に通っている。関口さんの亭主も針金を歯で食いちぎるほどなのに、毎日弁当を持って歯科医へ……新しい歯科医がとんでもない美人で、それが目的らしい。中川さんの亭主は、悪い歯がないのでわざわざ抜いて出掛けている。こうなったら地主の大山さんにお願いして、歯医者さんを追い出しもらとうと交渉に行くが、大山さんは総入れ歯なのに虫歯になったと治療に出掛けようとしている。
女房達が相談して、女先生には亭主と子供がいると亭主に話をすることになった。
「あなた、どうしたの」
「歯が痛くて痛くて……ちょっと歯医者に……」
「今歯医者から帰ってきたばかりじゃないの」
「でも痛いからしょうがない」
「そういえば、あの女先生、亭主がいるそうね。旦那さんだけじゃなくて、子、子、子」
「鶏だね……子供が三人も……ううん」
「あら、まだ歯が痛いの」
「いや、胸が痛むんだ」
【成立】
昔々亭桃太郎(1)の創作落語。昭和25年の作品。
【一言】
これは私が虫歯で苦しんでいましてネ、病院付の歯科へ通っておりましたが、一日おきに女医さんが見てくれまして、この女医さんが美人でしたので、患者がその美人先生の時を狙って押かけて満員というわけ。私もその中の患者の一人でしたが、やっぱり野郎より女の方がいいらしい。その時のヒントで書きましたもの。私もやっぱりハナ歯科ですから。(昔々亭桃太郎(1))
