2005/02/17(木)21:38
企業の社会貢献力
昨日、とうとう京都議定書が発効されたが、環境保全も含め、「企業の社会的責任」(CSR)がますます問われる時代になった。
同じ日、週刊誌「東洋経済」(2005/2/19)で「企業の社会貢献力」という興味深い特集記事があったので買って読んでみた。
昨今、三菱自動車や西武鉄道などの不祥事が続き、法令順守・企業倫理などが問われ、大企業の間では、CSRがブームになっているが、先進的な企業は、社会に対して責任を果たすだけでなく、積極的に社会に貢献する活動を行っているようである。
この理由は、「社員が誇りを持って働けば、良いサービスが提供できる。それが顧客満足を生み、ファンを作り、企業の長期的な繁栄に繋がる」ということだろう。
企業は、具体的にどんな社会貢献活動を行っているのだろうか?
例えば、
富士ゼロックス 端数倶楽部
給料と賞与の『端数』(100円未満の金額)に、個人の自由意志による拠出金をプラスし、継続的に拠出してもらい福祉、文化・教育、自然環境、国際支援で、その資金を役立てる。
マイクロソフト「 Unlimited Potential」(UP)
高齢者、障害者向けにITスキルのトレーニングや人材育成を行い自立を支援するプログラム
住友化学 WHOの要請により、マラリア撲滅のため防虫剤処理蚊帳を製品化
アフリカは毎年、100万人以上がマラリアで死亡する。その大半は幼児。
住友化学は、開発した製品の技術を無償でタンザニアの蚊帳メーカーに供与。
「製品の利益はミニマム。事業継続に必要な分だけ」がポリシー。
このように社員個人の自発性を促すものから、事業そのものが貢献するものまで様々。
仏教には「陰徳を積む」という考え方があるが、それは個人の生き方の問題。
資本主義経済の中で、社会を改善するには、企業が競って徳をアピールする仕組みが必要だろう。
「東洋経済」は、連結売り上げ4000億円以上の会社130社を対象にアンケートを行い、その回答結果から社会貢献度を評価している。
評価基準は、年間活動支出額、社会貢献活動に関わる方針の有無、専任者の数、予算、事後評価の有無、情報公開の有無、社員活動の制度の有無、NPO支援の有無、新潟中越地震・インド洋大津波の支援額など。
上位8社は、以下のとおり
18ポイント NTTドコモ(なんと年間支出額は100億円)
18ポイント 資生堂
17ポイント イオン(なんと専任者は100人)
17ポイント イトーヨーカドー
17ポイント アサヒビール
17ポイント トヨタ
17ポイント 高島屋
17ポイント デンソー
やはり、個人向けの商売をしている会社が積極的なようである。
まあ、中身が重要なので、これだけでは判断できないが、このように企業が競って社会貢献をしようという気にさせることは重要だと思う。
意外だったのが、下から2位(4ポイント)の信越化学工業。
社会貢献活動の方針は無し、専任者無し、予算無し、事後評価無し、NPO支援無し、インド洋大津波支援額0円とは寂しい。
この会社、財務内容が健全で、ムーディーズが、最近、格付けをA2からA1へ引き上げたところ。
HPの社長の挨拶では、
「信越グループは、これからも多彩な技術と素材で、人々の暮らしや産業、そして社会の発展に貢献していきます。同時に、「安全」「環境」「企業倫理」を最優先に推し進め、良き企業市民として社会の信頼に応えていきます。」
と書いてあるのだが、会社全体に浸透していないのだろうか?
僕は、信越化学工業を会計面で支え、現在、日本CFO協会の最高顧問である金児昭さんの本を何冊か読み、立派な方だと思っていたので、ちょっとショックだ。
頑張って頂きたい。