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2007/07/09(月)08:38

アクションラーニング(学習し絶えず成長する組織の育て方)

ビジネス成功法(68)

GE、IBM、モトローラー、ボーイング 少し古いかもしれないが、これらの企業は、名著『ビジョナリーカンパニー』(ジェームズ・C. コリンズ )で、時代を超え際立った存在であり続ける偉大な企業(ビジョナリーカンパニー )と定義されている。 ビジョナリーカンパニーの共通点は、経営理念が深く浸透しており、長い歴史の中で、幾度となく、経営者が交代し、業績が悪化しても、乗り切ることができたことである。 こうした企業の特徴は、カリスマリーダーやスーパーマネージャーに頼らず、組織全体が常に学習を続け、次々に起こる新たな経営課題を臨機応変に解決することができることではないかと思う。 では、どのような方法で、こういう組織を育てることができるのだろうか? 上記の4社には共通のチーム学習方法があった。 アクションラーニングである。 アクションラーニングとは、現実の課題をグループで検討し、解決策を立案し、実施(行動)する過程の中で、組織、チーム、そして参加する個人の力を育成していくチーム学習と問題解決の手法。 ・4名から8名ほどのメンバーが集まり、ひとりが問題を提示し、他のメンバーが質問をする。 ・問題提示者は、質問により、より問題を明確に理解したり、他に根本問題があることに気付く。 ・根本問題を発見したら、問題提示者は、問題を再定義して、メンバーから合意を得る。 ・そして問題提示者は、問題解決の目標を設定し、また、質問を受ける。 ・目標が定まったら、問題提示者は、行動計画をたてる。そして、また質問をうける。 ・そして行動計画の合意を得、セッションは終わる。 ・セッションは、コーチ(ファシリテーター)がしきる。 ・コーチは、ときどき対話をさえぎって、リフレクション(振り返り)の時間を設ける。 ・セッションが終わると問題提示者は、セッションで定めた行動計画を実行する。 ・そして結果を得て、次回のセッションに臨む。 この繰り返しにより、メンバーは実際の業務課題の解決を実行しながら、活発に振り返り(思考)、併せて学習する。 一挙両得というわけだ。 通常のミーティングは、メンバーに解決策を考えさせることから始まり、質問が少なく、意見や弁護ばかりが目立つ。 権威者や専門家が議論を牛耳って、狭い枠組みの中で、結論を出してしまう可能性がある。(複雑系の問題の場合、良い答えが出ない) 問題解決より、個人攻撃や弁護に思考力を費やして時間の無駄になる可能性がある。 一方、アクションラーニングは、質問が中心となる。 質問には下記の効果がある。 ・真の問題を発見し、問題を明確にする。 ・質問に答えることで、グループは整合性と矛盾に気付く。 ・注意深く聞く態度を養う。 ・相手への関心を高め、相手を重要視されている気にさせ、グループの結束力を高める。 ・人間の脳のシナプシスは拡大し、より結合する。この結果、メンバーの学習意欲と思考力が高まる。 ・優れたリーダーを育てる。    優れたリーダーは「巧みな質問」をする    (MSのビル・ゲイツ、ノキアのジョルア・オリラ、シスコシステムズのジョン・チャンバース) そしてアクションラーニング全体としては、下記の効果があるという。 ・複雑な問題に対して創造的解決が生まれる ・個人の能力の向上(システム思考、チームワーク、質問と洞察力) ・リーダーの育成(メンバーの力を引き出す支援型リーダーを育成する) ・自律型チームの育成(自ら考え、行動するチームを育てる) ・活気ある風土づくり(学習する組織の構築) ビジネスにおける問題は、簡単に答えが出ない、複雑系の問題が殆どである。 ひとりこもって狭い枠組みで解決方法を探っても、問題の全体像が見えず中々解決しない。 アクションラーニングのようにチームメンバーが多様な視点から質問をすることにより、 問題の全体像を明らかにしていく方法は、複雑なビジネス課題ほど有効だろう。 また、人は知識を詰め込むだけでは学習できず、問題解決スキルは向上しない。 学習とは、新しい知識・スキル、行動の変化、思考・態度・信条を獲得したり創出すること 新しい体験が自分の既に持っている情報と密接にリンクされ、意味づけがなされた場合に人は学習する。 この意味づけを行う過程で必要なものはリフレクション(振り返り)である。 リフレクションにより、体験と、蓄積された情報がリンクする。 質問中心のセッションと行動を繰り返すことにより、リフレクションが活発に行われ、学習が促進するという。 メンバーからの意外な質問により、ブレークスルー(新しいフレームワークの獲得)が生じることも期待できる。 僕は、自分のプロジェクトにおいて、ビジョンの共有と自律型人材と自律型チームの育成を目指していることをメンバーに伝えてきたが、共有できる具体的なアプローチがなく、メンバー個人の理解の差と温度差について問題意識を持っていたが、アクションラーニングを知って、これにかけてみようと決意した。 プロジェクトのビジョンを達成する上での問題をリーダーひとりひとりに提示させるという方針の上、昨日、プロジェクトのリーダークラスを集め、第一回目のアクションラーニングセッションを実施した。 結果は上々。 問題提示者は、自分が提示した曖昧な問題を何度も修正し、自分の言葉で一生懸命論理的に話そうと努力し、メンバーは、問題提示に耳を傾け、真剣な顔で考え、普段あまり話さないメンバーから質問が繰り返し出てきた。 問題解決には至らず、次回に持ち越されたが、これを継続すれば、下記の2点を達成できるような手ごたえがあった。 ・自律型チームの育成(自ら考え、行動するチームを育てる) ・活気ある風土づくり(チームメンバーの相互理解、学習する組織の構築) この結果は、また報告したい。

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