ふわふわ さらさら 

2008/07/13(日)17:22

くまとやまねこ

本(346)

くまとやまねこ ~著者湯本香樹実さんからのコメント~  この『くまとやまねこ』は、ずいぶん長い時間をかけてできあがった絵本なのですが、 できあがった今、時間をかけたかいがあったなあと心から思えるし、 この絵本で私が書きたかったことも、やっぱり「時間」なのだな、 とあらためて感じています。 身近な人が亡くなることも含めて、大事な何かを失うというのは、 自分自身の一部が死ぬことと等しい。 死んだ自分を抱えている間は、時間が止まってしまったようにも思えるけれど、 時間は実はきちんと流れていて、なにもしていないように見える人にも、 深い変化をもたらしているのではないでしょうか。 この絵本のなかのくまが、悲しみに閉じこもり、 でもやがて外に出かけていったように、 必ず死んでしまった自分自身の一部も、 またよみがえる時がくるんだという、 そういう時間というものへの深い信頼と感謝の念が、 私にこの小さな物語を書かせてくれたのだと思います。  酒井駒子さんの素晴らしい絵によって、 くまやことりややまねこや、命あるものすべてに流れる時の一刻一刻が、 一頁一頁、このうえなくいとおしいものとして描き留められました。 お読みいただけましたら幸いです。

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