KJESSのブログ

クリスマスが近づく街に、華やかなイルミネーションが灯り始めた。主人公のリナは、ケーキ屋「スイーツサロン」で働く24歳のパティシエ見習い。小さな頃からお菓子作りが好きで、パティシエになる夢を追い続けてきた彼女は、今まさに夢の入口に立っている。

そんなリナには、クリスマスが来るたびに思い出す幼い頃の記憶がある。それは、母と過ごした最後のクリスマスの思い出だ。リナが小学生の頃、病気で入院していた母のために、家族みんなでクリスマスケーキを持って病室に行った。母は辛そうだったが、ケーキを一口食べて満面の笑顔を見せてくれた。その笑顔は、リナにとって何よりも心に残っている思い出だった。

それ以来、リナは毎年クリスマスケーキを贈ることで、あの日の母の笑顔を思い出し、大切な人に同じような温かさを届けたいと思うようになった。しかし、家族が減り、友人関係も変わり、年々ケーキを贈る相手は少なくなってきていた。

そんなある日、リナの同僚であるケンジが、さりげなく「お前、クリスマスケーキとか好きそうだよな」と話しかけてきた。リナは驚いた表情を見せながら、「まあ、昔から特別な日だからね」と答えた。その言葉にケンジは少し驚いた様子で、「じゃあ、今年は誰かに贈るの？」と尋ねたが、リナは言葉に詰まり、返事ができなかった。

仕事終わりの帰り道、リナはふと、今年のクリスマスケーキを誰に贈るか、真剣に考え始めた。そして心の中で、「今年は、大切な誰かに自分の思いをケーキに込めて贈りたい」と決意したのだった。

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