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2024.11.14
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一郎は母の手紙を胸に、初めてのお歳暮選びに挑むことにした。母が大切にしてきた「感謝を伝える」という思いを、今度は自分自身が届ける番だと思うと、どこか誇らしくもあり、少し緊張もしていた。

どんな贈り物が相手に喜んでもらえるだろうか。母のように、贈る相手一人ひとりを思い浮かべ、彼らとの思い出や日々の支えを思い出してみた。会社を退職してからというもの、なかなか会う機会が減ってしまった旧友や、長年お世話になった職場の上司、そして親身になってくれた隣人たち。そんな人々への感謝を、どう伝えればいいのか考えあぐねていた。

ある日、商店街を歩いていると、昔ながらの老舗の和菓子屋が目に入った。小さい頃、母と一緒に通ったことのある店だ。季節ごとに彩られた菓子が並び、冬のこの時期には、餡がたっぷりと詰まった「雪見饅頭」が目を引く。寒い季節にぴったりの、ほっこりと心が温まる和菓子だった。

「これなら、あの人たちも喜んでくれるかもしれないな……」

一郎は、雪見饅頭を見てふと思い立ち、店主に声をかけた。店主も一郎を覚えており、母がよく贈り物としてこの和菓子を買いに来ていたことを教えてくれた。「あの饅頭を贈ると、皆さんが本当に喜んでくれたんですよね」と、懐かしそうに話す店主の言葉に、一郎は母の思い出がまた一つ蘇るのを感じた。

結局、一郎は雪見饅頭をお歳暮用に選ぶことにした。お歳暮用の特別な包装を施し、丁寧に準備をしてもらった。今まではただの習慣だとしか思っていなかった贈り物が、母の思いを知った今、一郎にとって特別な意味を持ち始めていた。

店を出て帰路につくと、白い息が空に溶けていくのが見えた。母が他界してから、少し冷たくなっていた自分の心が、少しずつ温かさを取り戻していくようだった。







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最終更新日  2024.11.14 03:39:05
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