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2024.11.14
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お歳暮用に用意した雪見饅頭が手元に届いた翌日、一郎は早速、贈る相手のリストを確認しながら包装を始めた。母が贈り物に込めていた「相手を思う心」を自分も込めるように、一つひとつ丁寧に仕上げていく。そこには、感謝とともに、長年支えてくれた人々への想いも自然と込められていた。

まず最初に思い浮かんだのは、長年勤めた会社で世話になった上司の鈴木だった。定年退職した一郎に、鈴木は「これからも何かあればいつでも相談してくれ」と言ってくれた頼もしい存在である。だが、退職後の忙しさにかまけて、ここしばらく連絡を取っていなかった。

「今頃どうしているんだろうか……」

鈴木の顔を思い浮かべながら、一郎は丁寧に包み紙を重ね、最後に母譲りの美しい結び方でリボンを締めた。そして、感謝の気持ちを短いメッセージにして、添えた。

「お元気でしょうか。長年、私を見守り、支えていただき感謝しております。これからの寒い季節、どうぞお体に気をつけてください。」

こうして仕上げたお歳暮を見つめていると、母が生前にしていたのと同じように「相手に届け」と心の中で祈るような気持ちが湧いてきた。普段は言葉にしにくい感謝の気持ちが、この小さな贈り物に宿っているのだと、一郎はしみじみと感じた。

数日後、鈴木から「こんな温かい贈り物をありがとう」と電話がかかってきた。鈴木の声には驚きと喜びがあふれており、「また近いうちに会おう」と声が弾んでいた。電話を切ったあとも、一郎はその言葉に胸がじんと温かくなった。

そして気づけば、かつての同僚、近所に住む友人、そして長年家族のように接してくれたお隣さんなど、多くの人にお歳暮が贈られ、それぞれからお礼のメッセージが届き始めていた。「あなたからの贈り物は特別ね」と言ってくれた友人の言葉が、母から受け継いだ「感謝の贈り物」という温かい習慣を、次の世代に繋げているような気がして、一郎は何とも言えない幸福感に包まれていた。

こうして一郎の贈り物は、少しずつ周りの人々の心にも届き始め、彼自身の心にも新たな温かさを運んでいた。







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最終更新日  2024.11.14 03:40:47
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