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ある寒い朝、一郎が窓を開けると、一面に白い雪が静かに積もっていた。初雪だった。母が他界してから迎える最初の冬、そして自分が母の代わりにお歳暮を贈り始めた年の初雪。その景色を見つめていると、どこか母の存在が身近に感じられる気がして、一郎の胸には温かいものがこみ上げてきた。 「母さんも、この景色を見ていたのかな……」 ふと、母が元気だった頃の思い出が蘇った。毎年冬になると、母はこの初雪を見て、心を込めてお歳暮の準備をしていた。雪の降る中、母が寒さを忘れて誰かのためにお歳暮を選ぶ姿が目に浮かぶ。そしてその姿に、幼いながらにどこか誇らしい気持ちを抱いていたことを思い出した。 その日の午後、一郎はお歳暮を届けるために、もう一つの贈り先へと向かった。そこは、母が長年お世話になっていた近所の和菓子屋の老夫婦が営むお店だった。老舗の和菓子屋は、母と一郎にとって特別な場所であり、母が雪見饅頭を買いに訪れていた思い出の場所でもある。 一郎が店に入ると、店主の老夫婦が温かく迎えてくれた。「光子さんの息子さんが、わざわざお歳暮を持ってきてくれるなんてねぇ」と店主の奥さんは目を細めて微笑んだ。一郎は、母の代わりに感謝を伝えるために来たことを話し、母が毎年楽しみにしていた雪見饅頭を受け取っていた思い出を共有した。 すると、店主のご主人が懐かしそうに言った。「光子さんは、雪見饅頭を贈るとき、いつも『この和菓子を食べると、心がぽかぽかと温かくなるんです』と言っていたよ。きっと、誰かに温もりを届けたかったんだろうね」 その言葉に、一郎の心もじんと温まった。母が贈っていたのは単なる贈り物ではなく、相手に温もりを届ける「想い」そのものだったのだ。改めてその深い愛情を感じ、母が続けてきたことを自分も大切にしていきたいという思いが、一郎の中で強くなった。 帰り道、一郎は雪が降る中、母がどんな思いで毎年お歳暮を選んでいたのかを考えていた。雪見饅頭に込められた母の温かさと、その贈り物がもたらした絆が、人々の心に深く根付いていることを実感した。そして、一郎は自分もまた、母の思いを胸に、周りの人々にその温かさを届け続けたいと強く誓った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.11.14 03:54:53
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