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2024.11.16
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玲子が近所の子どもたちにお菓子を配り、地域に温かな輪が広がってから数週間後、その余波が思わぬ形で彩奈のもとに届くことになった。

東京で忙しい日々を送る彩奈のもとに、一通の手紙と小さな包みが届いた。送り主は見覚えのない名前で、手紙の中にはこう書かれていた。

**「彩奈様へ

突然のご連絡をお許しください。私は山下玲子と申します。あなたのお母様のご友人である美代子さんから、贈り物の輪の話を伺い、そのきっかけを作ってくださったあなたに心から感謝の気持ちを伝えたく、お便りを差し上げました。

いただいたみかんジャムを通じて、私自身が地域の皆さんと再び交流するきっかけを得ました。その輪がさらに広がり、今では多くの人々が笑顔でつながっています。あなたの贈り物が、こんなにも大きな力を持つものだと感じています。

小さな感謝の印として、私たちの地域で子どもたちと一緒に作ったクッキーをお送りします。どうかお受け取りください。」**

彩奈は手紙を読み終え、小さな包みをそっと開けた。そこには、素朴で愛らしい形のクッキーが数枚入っていた。一つ手に取り、口にすると、どこか懐かしい温かさが広がった。

「こんな形で、自分がしたことが巡り巡って戻ってくるなんて……。」

忙しい毎日の中で忘れかけていた、人とのつながりや感謝の大切さを、彩奈は改めて思い出した。

その日の夜、彩奈は母の美代子に電話をかけた。

「お母さん、玲子さんから手紙とクッキーをいただいたよ。地域の人たちとつながるきっかけになったって書いてあった。私、なんだか胸がいっぱいになっちゃった。」

電話越しの美代子の声も少し弾んでいる。

「そうなの。お歳暮のお礼をもらった時、ただの贈り物じゃないと思ったのよ。彩奈が送ってくれたものが、こんなふうに広がるなんてね。」

彩奈はしばらく母と話した後、ふと一つのアイデアを思いついた。

「ねえ、お母さん。次のお歳暮は、地域の皆さんも巻き込んで作ったものを贈り合うのはどうかな?みんながつながるきっかけになったら、もっと素敵だと思うんだ。」

美代子はその提案に大いに賛成し、「贈ることでつながる」新しい形のお歳暮について考え始めた。

それから数年後、彩奈のアイデアは地域全体の取り組みとなり、「地域お歳暮プロジェクト」として実現した。

地域で採れた野菜や果物、手作りのお菓子や工芸品などを詰め合わせたギフトセットを作り、家族や遠方の友人へ贈る取り組みだ。プロジェクトの中核を担ったのは、もちろん美代子や玲子たち。そしてその影響はさらに広がり、他の地域でも同様の取り組みが始まった。

プロジェクトの第一号セットが彩奈の元に届いたとき、彼女はその中身を一つずつ手に取って、込められた思いを感じ取った。

「贈り物って、ただの物じゃないんだね。それを作る人、贈る人、受け取る人、みんなの心をつないでくれるんだ。」

彩奈はそうつぶやきながら、箱に詰められた地域の味や温かさをひとつずつ味わった。

お歳暮という文化が繋いだ輪は、物を超えて心を結ぶ贈り物の意味を人々に伝え続けた。

その中で、彩奈や美代子、そして地域の人々は、互いに支え合い、感謝し合う心を深めていったのだ。

終わり。

 






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最終更新日  2024.11.16 08:13:50
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