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古田先生との再会を果たした雅彦は、帰りの電車の中で、心の中に灯った小さな炎を感じていた。あの先生との会話は、どこか忘れかけていた「感謝」という感情を鮮明に思い出させてくれたのだ。そしてふと、雅彦の中で新たな疑問が芽生えた。 「俺が他に感謝を伝えるべき人は、誰なんだろう?」 その問いを胸に抱えながら、自宅に戻った雅彦は、冷蔵庫からビールを取り出しながら少し考え込んだ。仕事でお世話になった人、友人、あるいは家族……ふと頭をよぎったのは、職場の総務部にいる山田沙織のことだった。 沙織は入社当時から、どんなに忙しい時でも黙々と業務をこなし、時に冗談を交えながら職場の雰囲気を和らげてくれる存在だった。雅彦も何度か彼女に助けられたことがあるが、改まって感謝を伝えたことはなかった。 「お歳暮を贈るのは、こういう相手にもいいのかもしれないな……」 翌日、雅彦は昼休みを利用して近くのデパートに立ち寄った。総務部の皆に喜ばれそうなものをと考え、最終的に選んだのは、見た目にも華やかなフルーツゼリーの詰め合わせだった。カラフルなゼリーが並ぶ箱は、忙しい日々の中で少しの癒しを与えてくれそうだった。 雅彦は後日、仕事終わりに沙織のデスクを訪れた。彼女はまだ書類整理に追われているようで、雅彦に気づくと手を止めて笑顔を見せた。 「どうしたんですか、大田さん?珍しいですね、こんな時間に。」 「いや、実は……これ、総務部の皆さんに。」 雅彦は紙袋を渡しながら少し照れ臭そうに言った。「いつも助けてもらってるお礼っていうか、年末だから何かしたいなと思って。」 沙織は驚いたように目を丸くした後、優しい笑顔を浮かべた。「わざわざそんなこと、ありがとうございます。でも、嬉しいです。本当に。」 「いや、いつも大変な仕事してるのに、感謝を言う機会がなかったなって気づいて……」 「そう言ってもらえると、頑張ってる甲斐がありますね。皆で美味しくいただきます。」 雅彦はその場を離れ、オフィスを後にしたが、その帰り道はどこか足取りが軽かった。自分が贈ったものが、誰かの喜びになる。お歳暮の本来の意味を、少しずつ実感し始めていた。 数日後、総務部の休憩室では雅彦が贈ったフルーツゼリーを囲み、笑い声が広がっていた。沙織が「大田さんからの贈り物だよ」と言うと、他の同僚たちも「意外と気遣いできるところあるんだな」と冗談めかして笑っていた。 沙織はそんなやりとりを微笑ましく見ながら、ふと感じた。この一つの贈り物が、総務部という小さなチームの中に、さらに温かい絆を生み出しているのだと。 その日、雅彦の机には一通のメモが置かれていた。「大田さんへ:素敵なお歳暮、ありがとうございました!またお昼休みにでも一緒にランチしましょう。総務一同より」と書かれた手書きのメッセージだった。 雅彦はそのメモを読んで、小さく笑みをこぼした。そして、ふと思った。感謝は伝えた人に戻ってくるのだ、と。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.11.17 07:44:43
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