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年の瀬も近づき、街は一層慌ただしくなっていた。そんな中、雅彦は自宅のリビングで一人、手帳を広げながら今年の出来事を振り返っていた。古田先生への贈り物をきっかけに始まったお歳暮の習慣が、自分の心の奥に眠っていた感謝の気持ちを引き出してくれた。それが少しずつ周囲との関係を変えていることを実感していた。 しかし、その中で一つだけ気がかりなことがあった。それは、実家の母・信子への感謝を、言葉や行動で伝える機会が少なかったということだった。 雅彦は一人っ子で、父親が早くに亡くなった後、信子は女手一つで彼を育ててくれた。働きながらも、いつも自分のことを気にかけてくれる母の姿が、今でも鮮明に思い出される。特に大学進学の際、学費の心配をする自分に「お金のことは気にしないでいい」と笑顔で言ってくれたあの日のことが、心に深く刻まれていた。 「今まで何もしてこなかったな……」 雅彦は翌週の休日を使って、実家を訪れることにした。お歳暮として何を贈るかを考え、母の好きだったものを思い出す。甘党の母がよく口にしていた「あの頃の味」を、百貨店で探し、丁寧に包装してもらった。 久しぶりに帰省した雅彦を見て、信子は満面の笑みを浮かべた。 「雅彦、忙しいのにわざわざ帰ってくるなんて。何かあったの?」 「いや、たまには顔を見せようかなって思ってさ。それと、これ。」 雅彦は丁寧に包まれた箱を母に手渡した。 「お歳暮ってやつ。お世話になってる人に感謝を伝えるものだって最近気づいてさ。一番お世話になったのは、やっぱり母さんだから。」 信子は驚いたように箱を見つめたあと、ゆっくりとそれを開けた。中から現れたのは、昔母が好きだと言っていた老舗の和菓子だった。 「あら、これ……懐かしいわね。あんたが小さい頃、お祝い事のたびに食べてたやつじゃない。」 母の目尻に少し涙が光ったのを見て、雅彦は照れ臭くなりながら言葉を続けた。 「母さんには感謝してもしきれないくらい、たくさん世話になったよ。今まで全然伝えられなかったけど、ありがとう。」 信子は箱をそっと閉じて、優しい笑顔で息子を見つめた。 「雅彦がこうして元気でいてくれるだけで、母さんにとっては十分なお歳暮みたいなものよ。でも、ありがとうね。本当に嬉しいわ。」 その後、二人は台所に移動し、お茶を淹れながら和菓子を味わった。甘い香りが広がる中、信子が少し懐かしそうに昔話を語り始めた。雅彦が幼い頃の失敗談、進学で悩んでいた日々のこと……それらを聞きながら、雅彦は自然と笑顔になり、心の中に温かな灯がともるのを感じた。 「お歳暮って、ただの贈り物じゃないんだな……」 雅彦はその時、深く実感した。形にすることで、普段伝えられない感謝の気持ちが相手に届く。それは、自分自身の心も満たしてくれるものだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.11.17 07:47:12
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