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2024.11.17
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年末が差し迫るある日、雅彦のもとに一通のメールが届いた。送り主は、以前から仕事上の取引で関わりのあった小規模な製造会社の社長・宮下だった。

「大田さん、この1年、取引で助けてもらったお礼に、何かお歳暮を贈りたいと思いまして。よければご住所を教えていただけますか?」

普段、仕事上の関係で感謝を伝えられることはあっても、こうしてお歳暮として形にしようという相手に出会うのは珍しいことだった。雅彦は少し驚きながらも、丁寧に返事を書いた。

「ありがとうございます。ただ、わざわざお気遣いいただかなくても大丈夫です。むしろ私の方が、宮下さんの協力に感謝しています。」

その後、数分間やり取りが続いたが、宮下は頑として譲らなかった。最終的に、雅彦は「ではお気持ちだけありがたく受け取ります」と答えたのだった。

数日後、宮下から届いたお歳暮は、手作りのスモークチーズの詰め合わせだった。雅彦はそれを見て微笑みながら、宮下が以前、「地元の材料を使った製品作りに力を入れている」と語っていたことを思い出した。

そのスモークチーズを職場に持参し、昼休みの休憩室で同僚たちに分けたところ、意外な反応が返ってきた。

「これ、すごく美味しいね!」「どこの製品?取り扱ってるならぜひ教えてほしい。」

特に反応が大きかったのは、営業部の先輩・川村だった。彼は食に対して独特の感覚を持っており、新しい取引先や販路を探すのが得意だった。

「これ、もしかして地方の小規模工場とか?最近、こういう手作り系の商品が注目されてるんだよね。」

雅彦は宮下の製品だと伝えると、川村はすぐに名刺を要求し、「後で詳しく話を聞かせてほしい」と目を輝かせた。

後日、雅彦は宮下に連絡を入れ、製品に興味を持つ人がいることを伝えた。宮下は驚きながらも嬉しそうに「ぜひ話を聞きたい」と答え、営業部の川村と商談の場を設けることになった。

その商談は大成功だった。宮下の製品は地方の特産品として多くの価値が認められ、雅彦の会社が新たな販路を提供することになったのだ。宮下は取引が正式に決まった後、雅彦に深く頭を下げた。

「大田さんが感謝の気持ちを形にしてくれたおかげで、こうして新しいチャンスをいただけました。本当にありがとうございます。」

「いやいや、僕は大したことしてないですよ。ただ、あなたの気持ちがしっかり形になって、それが繋がりを生んだんです。」

宮下は目を潤ませながら、「こうして繋がることがあるんですね……これからもっと頑張らなきゃ」とつぶやいた。

その帰り道、雅彦は改めて感じた。お歳暮や贈り物は、ただの物ではない。そこには贈る側の感謝と気持ちが込められ、それが相手に届くことで新たな絆を生み出す力があるのだ、と。

この経験を通じて雅彦は、お歳暮を「一度限りの形式的な習慣」とは考えなくなった。それは、誰かとの関係を深め、思わぬ形で未来を切り開くきっかけになるのだと実感したのだった。

 






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最終更新日  2024.11.17 07:56:33
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