000000 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

KJESSのブログ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

KJESS

KJESS

カレンダー

バックナンバー

2025.03
2025.02
2025.01
2024.12
2024.11

カテゴリ

日記/記事の投稿

コメント新着

コメントに書き込みはありません。

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2024.11.17
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類

宮下との取引が決まった翌日、職場ではその話題で持ちきりだった。営業部の川村をはじめ、同僚たちは雅彦の行動力を称賛してくれたが、雅彦自身は少し戸惑っていた。

「ただのお歳暮がきっかけでこんなことになるなんて、思いもよらなかったな……」

これまでは自分の役割を「仕事を淡々とこなすこと」と捉えていた雅彦だったが、今回の経験を通じて考え方が変わり始めていた。仕事はただの作業ではなく、人と人とを繋ぐきっかけを生むものでもあるのだと気づいたのだ。

その日、休憩室で山田沙織と話す機会があった。

「宮下さんとの取引、すごい成果だね。大田さんの人柄が生んだ結果だと思うよ。」

「いや、たまたまだよ。俺はただ、感謝を伝えたかっただけで……」

「その“ただ”が大事なんだと思う。感謝を形にする人って意外と少ないんだよね。」

沙織の言葉に雅彦は深く頷いた。確かに、感謝の気持ちを抱くことは誰にでもできるが、それを行動に移すのは簡単なことではない。だからこそ、それが特別な意味を持つのだろう。

その夜、雅彦は久しぶりに友人の佐藤に連絡を取った。大学時代の親友で、今は地元で家業を手伝っている彼とは、最近疎遠になっていた。

「突然だけど、元気にしてる?」

電話越しの佐藤は驚いた様子だったが、すぐに昔と変わらない調子で応じてくれた。

「おお、久しぶりだな!どうしたんだ、急に?」

「いや、なんとなく。年末だし、最近いろいろ考えることがあってさ。」

雅彦は、最近のお歳暮を通じた経験や、感謝を形にする大切さに気づいたことを話した。佐藤はそれを静かに聞いていたが、最後にこう言った。

「お前、変わったな。でも、いい方向に変わったと思うよ。なんか、昔よりもっと頼れる感じがする。」

その言葉に雅彦は少し照れながらも、素直に嬉しかった。

「ありがとな。こういうことって、誰かに教わらないと気づけないもんだな。」

佐藤は笑いながら言った。

「そうかもな。でも、お前がその気づきを人に伝えてるなら、それだけで十分価値があるんじゃないか?」

電話を切った後、雅彦は一つの決意をした。来年はもっと積極的に、自分から人との繋がりを広げていこう。そして、感謝の気持ちをただ心にしまい込むのではなく、行動で表していこうと。

「お歳暮って、こんなに深いものだったんだな……」

雅彦にとって、それは贈り物という枠を超えた、自分自身の在り方を問い直すきっかけだった。

 






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2024.11.17 07:59:04
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X