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2006.01.09
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カテゴリ:サッカー
<高校サッカー:野洲2-1鹿児島実>◇9日◇国立◇決勝

 「技」で全国4122校の頂点を極めた。野洲(滋賀)が、初の決勝で2連覇を狙う鹿児島実(鹿児島)と対戦。1-1の延長後半7分、流れるようなパス回しからスーパーサブのFW滝川陽(3年)が3戦連発となる決勝弾を決めた。滋賀県勢で初、関西勢でも32年ぶりの栄冠だ。日体大レスリング部出身の山本佳司監督(42)が率いる技巧派集団が、スピード&パワーの強豪を破った。フィジカル中心の高校サッカー界に、新風を吹き込んだ。

 糸を引くようなサイドチェンジから、ショートパスとドリブルのハーモニーは始まった。PK戦決着まで残り3分。DF田中のパスがピッチを横断。受けたMF乾が中央に切り込み、相手DFを引きつけ、MF平原へヒールパス。その背後を追い越したMF中川はガラ空きの中央へクロス。ゴール前にフリーで詰めた3人のうち、FW滝川が決勝ゴールを流し込んだ。高校サッカー界屈指の強豪の守備を完全に崩した。「パスサッカー」に、観衆3万1782人から大拍手が起こった。

 「技術」で頂点をつかんだ。連覇を狙う鹿児島実から前半23分に先制。後半34分に追いつかれた後も、かたくなにゴロパスをつないだ。厳しく、早い寄せをヒール、ノールックパスなどでかわし続けた。

 日本協会の川淵キャプテンは「パスのたびに笑いが出た。おもしろいサッカーをするチーム。東福岡以来かな」。97年度に全日本ユース、高校総体、選手権で3冠を達成した伝説のチームを引き合いに出した。滝川は「高校サッカーを変えると大口をたたいたから。あれ(決勝点)ぐらいは練習で見慣れている」と平然と言った。

 快挙の秘密は、地域密着にある。山本監督が練習で技術強化に焦点を当てつつ、人材を発掘した。97年に中学生のサッカーチーム「野洲クラブ」を立ち上げ、野洲に赴任。野洲市のジュニアユースチーム、セゾンFCに日参し、98年には同FCからMF前田(現G大阪)MF田中(同徳島)が入学。同FCも指導する岩谷篤人コーチは「2人を絶対Jリーガーにしろと言った。その約束を守ってくれた」という。県外への選手流出は止まり、今年の3年は15人が同FC出身だ。日本協会の田嶋技術委員長は「新しい風を吹き込んでくれた。ユース育成に生かしたいぐらい」と感心した。

 チームがガタついた時期もある。昨年6月、総体県予選でPK戦負け。選手同士のけんかで1週間、自主練習する選手が絶えた。主将のMF金本は「負け続けたけど、技術で負けてなかった。自分たちを信じてやってきた」。滝川は「どこにもマネできへん最高のサッカー」と胸を張った。高校サッカーでは、ロングボール主体で走り勝つスタイルが一つの常識だった。高い技術に裏打ちされた美しいパスが、そこに新たな虹をかけた。







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Last updated  2006.01.11 02:08:11
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