病気が教えてくれること

2008/09/20(土)19:27

大事な人達

乳癌が発覚した当初、1番気が重かったのは、母親にそれを告げなければならない事でした。私は母が大好きで、母を悲しませる事はなるべくしたくなかったし、母自身も苦労の多い人生で、最近やっと少し楽になってきたところであり、穏やかな生活を送り始めたところだったのに、まるで降って湧いたような娘の乳癌の話しを、私は何と言って切り出せばいいのだろうかと、とても憂鬱でした。いっそこのまま隠し通そうかと思いましたが、主人に反対され『そんな事をして、後で知らされたら、お母さん余計にショック受けるんじゃない?』と言われ、それもそうだなと思い、いざ告白という運びになったのですが、やっぱりなかなか切り出せず、電話だったんですけど、ずっと関係ない話をした後で、やっと実は病気になってと告げる事ができました。それでも、「癌」という言葉を口にするのは、とても勇気が要りました。何故かと言えば、私の父親も癌で亡くなっており、それは私が8歳の時だったので、うちの母は38歳で、いわゆる未亡人になったのでした。それから女手ひとつで、私と姉と妹の三人を育て上げてくれ、娘をみんな嫁に出し、さあ、これから楽しい余生を送れるはずだったのに、娘が癌になってしまったなんて、母はどう思うだろう。しかも、自分の旦那の命を奪った癌という同じ病気だなんて。母にそれを告げるのは、残酷な気がして、本当に嫌でした。でも、思ったほどお母さんは弱くなかったみたいです。電話で乳癌になったと告げた時、初めは絶句していましたが、すぐに入院はいつだとか、手術の時はそっちに行くからとか、現実的な話をしだしたのでした。(母は隣の県に住んでいます)私は少しほっとしましたが、あれも今考えれば、母が気を使ってわざとショックを受けてないふりをしていたのかなぁと思っています。そんな、大好きなお母さんを悲しませない為にも、私がしっかり前向きに生きることが、大事なんだと自分に言い聞かせています。心がネガティブになりそうな時は、いつも、母をはじめとする、支えてくれる大事な人達を想います。 癌という病気になってしまったけど、自分はひとりで生きてるんじゃない事を、思い起こさせてくれる機会をもらった事は、悪いことじゃなかったと今は思っています。病気はもちろん嫌な事だけど、そればかりを歎いていても何も始まらないんだと最近気づきました。まだまだ、日によっては、ひどく落ち込んだり、波があるけど、 だんだん心も元気になっていけたらいいなと思います。

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