テーマ:スメタナ(3)
カテゴリ:管弦楽
スメタナ/連作交響詩「わが祖国」他 私とモルダウ川(紺野美沙子) 私は昔から外国語やカタカナに滅法弱い。だから学生時代は、英語より国語、世界史より日本史が好きだったし、聴いていた音楽も洋楽より邦楽、歌謡曲かニューミュージックだった。なにしろ外国の映画を見てもポップスを聴いても、キャストやアーティスト名が記憶に留まらない。楽器で一つの音が出なくなるのと同じように、もしかしたら脳細胞が一個欠落しているのでは、と思えるほどである。車の中で聴く音楽の選定のポイントも、つい最近までは、一緒に口ずさむことができる曲、だった。ユーミンや竹内まりや、時にはテレサ・テンや石川さゆりなど。日本語なら、歌詞の内容をかみしめながら自分がその曲のヒロインになることもできる。失恋したての時には、感情移入し過ぎて、ポロポロ泣きながら唄って運転したこともある。はたで見たらかなリアブナイ光景に違いない。そんな私が、好んでクラシックを聴くようになったのは、ここ数年のことである。結婚をして夫の影響を受けたことも大きいと思うが、聴いていて最も心地好さを感じる音楽がクラシックになったようだ。ところが、元来の横文字苦手症が災いし、作曲者名や曲名がなかな力記憶に残らない。CMなどで耳慣れたメロディーが流れても、「あっ、これ、知ってるけど何だっけ」の連発。「これはモーツァルトのピアノ協奏曲○番だわね」などと、さりげなくいえる人に出会うと、無条件に尊敬してしまう。そんな私でもすんなり覚えたのが、スメタナの「モルダウ」である。これはドライブの時もよくかける大好きな曲の一つ。ひとことで言うと、潤いを与えてくれる音楽で、気持がカサカサしてきた時に最適なのだ。大河の静けさやうねるようなパワーを感じさせる、壮大な交響詩に、いつも心が浄化されていくような感じを受ける。3年ほど前、ドラマのロケでチェコスロヴァキアを訪れることになった。チェコといえば国民的英雄のスメタナ。有名なモルダウ川もこの目で眺めることができるかも知れない。さっそく世界地図を取り出してモルダウ川を探したのだが・・・。な、ない。どこにも載っていない。そんな馬鹿なと思ったらCDの解説に「モルダウ川とはチェコ語でヴルタヴァという同国一の大河のこと」とあった。残念ながらロケ地はスロヴァキアの首都、ブラチスラヴァという町のみで、チェコの首都、プラハを 流れるヴルタヴァ川には行くことができなかった。という訳で私の中のモルダウ川は、イメージの世界のままである。スメタナは晩年、耳が不自由になり、モルダウを含む連作交響詩「わが祖国」は障害を負ってからの作品だという。祖国へのあふれる思いをイメージの世界で大きく膨らませた集大成といっていいだろう。ボヘミア地方の南部の森に源を発し、北へ向かってプラハを通り、やがて北海へとそそぐモルダウ川。私もイメージのまま愛し続けることにしよう。 [Disk 1] 連作交響詩「わが祖国」(1872頃~79) 第1曲 ヴィシェフラド 第2曲 ヴルタヴァ 第3曲 シャールカ 第4曲 ボヘミアの森と草原から 第5曲 ターボル [Disk 2] 第6曲 ブラニーク 録音:1975年2月18~28日、プラハ、芸術の家 交響詩「リチャード3世」Op.11(1857~58) 交響詩「ヴァレンシュタインの陣営」Op.14(1858~59) 交響詩「ハーコン・ヤルル」Op.16(1860~61) シェイクスピア祭のための祝典行進曲(1864) 録音:1974年、プラハ、芸術の家 ヴァーツラフ・ノイマン指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 解説:藁科雅美 SUPRAPHON(日本コロムビア) 58C37-7724~7725 発売年月日:1986年3月31日 購入年月日:1986年12月4日(サウンドハンター各務原店) ノイマン/チェコ・フィルの「わが祖国」は、昭和49年(1974年)6月の来日公演を聴いたことがあります。当時、民放4局ネットでで「TDKオリジナルコンサート」(東京・名古屋・福岡では毎週金曜日、大阪では火曜日の夜放送)という番組があり、これの公開録音特別演奏会が、小雨のぱらつく昭和49年6月30日(日)東京文化会館でおこなわれたのです。当年はスメタナ生誕150年の年にあたっており、聴取者の応募数11万2000人の中から招待された2000人が美しい音楽に聴き惚れました。この模様は東京・名古屋・福岡では7月12日、19日、大阪では7月16日、23日に放送されました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2023.05.12 09:24:46
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