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2013/09/20
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カテゴリ:音楽
唖蝉坊01

ここは音楽好きのブログではありますが、こんなのまで取り上げるの?と眉を寄せられるかも知れません。演歌と言っても演説歌なんですが、ま、エノケンつながりで、一気に100年前までおつきあいください。

明治から大正にかけて活躍した演歌師・添田唖蝉坊(そえだ あぜんぼう)です。川上音二郎などの自由民権運動による「演説歌」を受け継いで、社会を皮肉った数々の唄を作って全国を回りましたが、社会派ソングを目指す人たちに大きな影響を与えた人です。つまりは日本のプロテストソングの原点です。

彼は、庶民に視点を置いて政府や金持ちを痛烈に皮肉っており、現代にも通じるシニカルな歌詞が痛快です。



添田唖蝉坊・ノンキ節 / 土取利行(弾き唄い)
(右下の四角をクリックすると、フル画面で歌詞が読めます)
--------------------------
<ノンキ節・歌詞>

成金といふ火事ドロの 幻灯など見せて、貧民学校の先生が
正直に働きゃ 皆この通り、成功するんだと教えてる
ア~、ノンキだね

貧乏でこそあれ 日本人は偉い、それに第一辛抱強い
天井知らずに 物価は上っても、湯なり粥なりすゝつて生きてゐる
ア~、ノンキだね

うんとしぼり取つて 泣かせておいて、目藥ほど出すのを慈善と申すげな
なるほど慈善家は 慈善をするが、あとは見ぬふり 知らぬふり
ア~、ノンキだね

膨脹する膨脹する 國力が膨脹する、資本家の横暴が 膨脹する
俺のカカァのお腹が 膨脹する、いよいよ貧乏が 膨脹する
ア~、ノンキだね

月給を2倍にしてあげましょう、税金も2倍にしてあげましょう
物価は3倍4倍にしてあげましょう、わたしの算術なかなかうまいでしょ
ア~、ノンキだね

--------------------------

この人の歌は言ってみれば反体制、だから60年代には加川良や高石ともやなどのフォークシンガー達が着目し、唄ってました。「お前、この世へ何しに来たか、税や利息を払うため」という高田渡の「あきらめ節」も唖蝉坊の歌詞でした。



あきらめ節-高田 渡

歌詞はこちらの土取さんバージョンで。

添田唖蝉坊 ・あきらめ節 / 土取利行(弾き唄い)


また、唖蝉坊らの影響を受けていた小沢昭一は、日本の大道芸という切り口でこれらの芸能の伝承を続けてましたね。

ファンドマネージャーにぴったりの唄「金だ金金、この世は金だ~」をお聴きください。

金金節/小沢昭一

歌詞はこちらの土取さんバージョンで味わえます。

添田唖蝉坊・金々節 / 土取利行(唄・演奏)


近年も唖蝉坊の唄を取り上げるロックやラップ系の人達があるようです。


ああわからない (ソウル・フラワー・モノノケ・サミット)


歌詞はこちらの土取さんバージョンで。

添田唖蝉坊・ああわからない / 土取利行(弾き唄い)

おお、若い人がちゃんと受け継いでるんですね。というか、今の社会情勢にも通じるということは、人の世も政治家も変わってないんですねー。いや、もっと悪くなっている?
「ああ、わからないわからない、貧乏人の増えるのが、なぜに開化か文明か?」



ちなみに、唖蝉坊は風刺歌ばかりでなくシリアスな唄も歌ってますし、彼を継いだ長男の添田さつきにはこんな応援歌もあります。


添田さつき・復興節/ 土取利行(唄・演奏)

これは、ちょっと感動です。関東大地震で崩壊した東京が復活する様をこんな風に歌われると、頑張りたくなります。「復興する東北」とはちょっと違う、あっけらかんとした視点がいい。

♪「見舞いにやって来た父さんが、上野の山で仰天し、
  焼けたやら焼けないやら、どっちを向いても屋根ばかり、
  帝都復興、エーゾエーゾ!」



<追記1>
添田知道(さつき)が「復興節」を始めて歌った状況を伝える文書。
内閣府/災害教訓の継承に関する専門調査会報告書/平成20年3月
1923 関東大震災【第3編】  
コラム12 「復興節」とこころの復興

なお「復興節」の元歌は中国・清時代の楽曲の「紗窓(さそう)」だとのこと。



<追記2>演説唄とは
政府に対する批判を織り込んだ歌。街角で演説すると逮捕されたため、歌なら取り締まれないので流行りました。ラジオやレコードのなかった時代、街角に演歌師が立って歌い、歌詞を印刷した紙を売っていました。
演説歌は「演歌」と略されますが、のちに政治性が失われ、今では​こぶしを効かせて情愛を唄う流行歌​の名称となってます。





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最終更新日  2025/04/21 07:34:53 PM
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