2023/07/24(月)06:07
到着ロビーで3人が出会う。
到着ロビーで3人が出会う。
ひとりは初老の男性。名前をフィリップ・ピエール。
そして女性。名前を、サラ・ピエール。
女性と男性、藪岡を見つけて右手を振る。
藪岡、ふたりに深々とお辞儀をして近づき、
「初めまして。」
サラが通訳をする。フィリップ、右手を差し出し、
「こんにちは。初めまして。」
その声に藪岡、
「おほほほほほ。日本語お上手で…。」
するとフィリップ、
「孫に教わりました。ハハハハ。」
藪岡、差し出された右手に自分の右手も。
サラ、
「教授のフィリップ。そして、サラです。」
自分も自己紹介。そして右手を。
藪岡、ニコニコと、
「光栄です。」
その日の夕方には藪岡から柚香のスマホに。
柚香、
「はい。柚香です。」
スマホからの声、
「柚香さん、藪岡です。予定通りにフィリップ教授、到着しています。」
「あ~~。はい。そうですか~~。わざわざご連絡。」
いつものファーストフードの店で柚香。隣席には真輝。真輝に、
「教授、着いたって。」
真輝、頷く。
藪岡、ホテルのロビーで。立ったままで…。
フィリップとサラはソファに座り、何枚もの書類と画像に目を。
そして、フランス語での会話。
藪岡、
「当然の事だが、パートナーでもあるサラさんも。」
「あ、はい。分かりました~~。ありがとうございます。」
「…で…、早速なんだが…。明日の夕方には…。」
柚香、その声に、
「あ、はい。私は、いつでもいいように。…おばあちゃんも…、そのつもりで…。」
藪岡、ニコニコと、
「ハハ、それは助かる。」
スマホを耳に。
「…で、柚香さん、準備の方は…。」
「あ、はい。それも大丈夫です。いつでも…。大学の方へは届、済ませましたから。」
「うん、分かった。じゃあ、明日、ホテルのレストランで…。」
柚香、
「はい。」
「そして。おばあさんにもよろしく。明日、お待ちしてますと。」
「あ、はい。分かりました。…はい。失礼します。」
そして柚香、通話を切る。
「ふぅ~~~。」
ポテトをひとつ摘まんで口に。
「遂に。」
真輝も、
「来たね~~。明日、ホテル。」
その声に柚香、コクリと。
「うん。」
真輝、
「まっ。準備はいつでもOK。」
柚香、また、
「うん。」
けれども、
「ただ…。」
真輝を見て…。
真輝も、コクリと。
「うん。ただ…。…それまで、陽織ちゃんに…。まっ。何とか、今まで…。」
柚香、
「うん。…そうあって、欲しい…。」
「エンカントのルシアさんや肇さんから何か、連絡は…???」
柚香、その声には首を振る。
「何も…。…いや、だって、私は、私のまんまだし。もし、陽織になっていれば、店には行くと思う。…でも…。それに…。ルシアさんと肇さんにしても、店に来るのは陽織であって、私じゃないから…。その辺は…。」
真輝、
「ふ~~ん。確かに。流れ…的には…。」
そして柚香、バッグから写真を…。そしてテーブルに。
真輝、その写真を見て、
「この人が…、教授。」
「うん。」
「何か、凄い、貫禄あるよね。」
そして、もう一枚の写真も見て、
「…で、これが…。柚香さんのパートナーの…。」
「うん。サラ・フィリップさん。ものっ凄い奇麗でしょ。まるで女優かモデル。」
真輝、コーラを飲みながら、
「確かに。」
世田谷観音総合病院、熊沢、藪岡からの電話に、
「そうですか~~。教授、着きましたか~~。いや。藪岡先生には何とお礼していいか。」
その声に藪岡、
「いえいえ。とんでもないです。当然ですが、熊沢先生の事も、教授には…。とにかく、経緯の全てを情報として。」
廊下を歩きながら熊沢、
「えぇ。ありがとうございます。」
そして、
「遂に柚香さん、フランス~~。…まっ。今のところは、陽織さんには…。」
「えぇ。何とか…。…で…、明日には、ホテルの方で、柚香さんとおばあさんに。」
「あ、はい。よろしくお願いします。…いやいやいや。フランスの事、幸乃さん。おばあちゃんから聞いてビックリしましたね~~。」
「いやいや、お恥ずかしい限り。私から先に熊沢先生に連絡するはずが…。」
熊沢、自分の下に近づいてきた松峰に右手で合図を…。
松峰、顔を傾げて…。
熊沢、
「えぇ~~。何分にも、よろしくお願いします。」
そして、通話は切れる。
「熊沢先生。521の、弥上(やがみ)さん。」
松峰。
「えぇ。私も気になってます。…何が原因で…。」
松峰、そして、
「先生…。今の電話。」
熊沢、松峰にニッコリと、
「藪岡先生です。精神科医の。」
「…と、言う事は…、柚香さん…???」
「えぇ。2日後にはフランス。」
「へぇ~~~。凄い。完璧にお膳立て。」
「えぇ~~。これで…、何とか…。」
「改善の方向に。」
熊沢、松峰を見て、
「ですね。」
そして、
「じゃ、急ぎましょう。」
松峰、
「はい。」
ホテルの地下駐車場。
スマホのラインの画面を見て、
「あ、おばあちゃん、そこそこ。43番。」
幸乃、
「あぁ。あった、あった。ふふふ。」
そして…、ふたり、車から降りて…。共に、
「行きますか。」
「行こうか。」
LIBRA~リブラ~ vol,205. 到着ロビーで3人が出会う。
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