THMISmamaの~お洒落の小部屋~

2024/04/22(月)06:00

ふたりの女性が、ある家庭に訪れていた。

そして…、その頃…。ふたりの女性が、ある家庭に訪れていた。 その女性を家の中にもてなす老婦人。 「お邪魔します。…あの…。…で、優大君は…???」 老婦人にそう尋ねる女性。梶美耶乃である。 老婦人、再び梶に正座をして頭を下げ、 「梶社長、本当にありがとうございます。」 そんな老婦人に梶、両手を前に、 「いいえ~~。とんでもございません。…これも、何かのご縁ですよ、きっと~~。」 「何とお礼をしていいやら~~。」 そして、 「どうぞ、どうぞ。部屋の方へ~~。」 梶、その声に笑顔に。そして顔をコクリと。 廊下に出て、そして2階に上って。 梶、一緒にいる尊にコクリと。尊もコクリと。 そしてドアをノックして…。 「敦盛君。梶です。入りますね。」 ここは、日本経済団体連合会、専務理事の榊神埜進(さかきじんのしん)が、 街で見掛けた少年の家である。 その少年の名前を敦盛優大。17歳。高校を中退しており両親はいない。 70歳の祖父と共に生活している。親戚の料理店で皿洗いや掃除などのアルバイトで暮らしている。 殆ど他人との接触はしていない。その理由が、つまりは自閉症である。 …だが、この少年。実は、絵を描かせるととんでもない能力を発揮する。 大人顔負けの絵を描く。…と、言うよりも、正に、アートなのである。 そんな敦盛を榊が見染めて自分の下に受け入れたのである。 優大の祖母、基世(もとよ)は信じられない事に恐縮するばかり。 お茶をすすりながら榊、ニコニコと、 「いいえ~~。おばあちゃん。まま、確かに、優大君、自閉症とはお話、伺いましたけど、中々どうして~~。話をすればニッコリと。とにかくいい顔を見せてくれるんです。…それで~~、お店の店主とも、話して参りました。」 基世、 「え~~、え~~。家にも来てくれて、話をしてくれて…。まさか、こんな事がって…。」 始終、笑顔の榊。 「とにかく。生活は今のまま。今のままの生活の中で、優大君の好きな時間の中に、少しだけ、お手伝いをして頂ければ…。」 そして榊、右手を顔の前で、人差し指の先と親指の先を1cmくらい開けて。そして、ニコニコと。 「優大君も、私のお願いに、ニッコリと、いいよ。って、答えてくれまして~~。」 基世も、 「え~~、え~~。あの子、帰ってきたらいきなり、おばあちゃん、今日、良い事があったって、それはもぅ~~。ニコニコと~~。」 榊、そんな基世を見て、そして奏を見て、笑顔で、 「そうでしたか~~。」 奏、そんな榊を見てニコリとそして頷いて。基世に、 「良かったですね。」 その後、榊から紹介があった優大の自宅に訪れた梶が基世と出会い、 「今後はトータルインテリア伊玖伊那で面倒を見させてもらいます。」と、なったのだった。 ドアを開けて優大の部屋に入った瞬間、梶、目の前の光景を見て目を見開いた。 「えっ!!!」 部屋の絨毯から壁に至るまで、画用紙に描かれた様々な絵。梶、 「優大君、こんにちは。」 尊、 「凄い。」 机に向かって画用紙に絵を描いている優大。何も言わない。 尊、絨毯の絵と壁に貼られてある絵を見て、 「何なの、この絵、凄過ぎる。」 ドアの傍で基世、ドアに寄り添ったままで…。そして、 「梶社長、そんなので…。」 そんな基世に梶、振り向いて笑顔で、 「敦盛さん。おばあちゃん、凄いですよ、優大君。」 梶、今まで様々な絵を見て来たが、優大の絵には、それをも凌ぐセンスが感じられていた。 「尊、お願い。」 その声に尊、 「分かりました。」 梶、優大の自宅に最初に訪れた時に、こう、優大には話していた。 「優大君の得意な絵に、ひとつだけテーマを増やしてください。それは、家のもの。そうね。椅子や机、その他にも何でもいいわ。」 そして、梶、優大に自社で製造しているあらゆる商品を見せて、 「こういうものでいいの。とにかく優大君がイメージできる範囲で、沢山描いてくれればいいの。出来る…???」 その話に優大、にっこりと、 「いいよ。」 その時の答えが、今、実際に優大の部屋の中にある絨毯に、 そして壁に貼られてある絵たちである。 尊、その絵、一枚一枚をタブレットで撮影。 梶、机の優大の傍に。 「頑張ってる…???」 その声に優大、そのままの姿勢で、 「うん。」 梶、今描いている優大の絵に、満面の笑顔で、 「ありがとう。頑張ってね。」 優大、また、 「はい。分かりました。」 そして梶、優大に、 「とにかく凄いわ。」 その声に優大、梶にようやく顔を向けてニッコリと、 「ありがとうございます。榊のおじいちゃんと、梶社長、僕、好きです。」 笑顔満面で。 その声と顔に梶、こちらも満面の笑みで、 「うん。ありがとう。ご苦労さま。」 そして優大の左肩に右手を添えて、 「お願いしますね。」 するとまた優大、ニッコリと、 「分かりました。」 好きになれない。   vol,235.   ふたりの女性が、ある家庭に訪れていた。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

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