カテゴリ:社会のできごと
昨日、追悼番組で本田美奈子さんが歌う「オンマイオウン」を少しだけ聴くことができました。
これはミュージカル「レ・ミゼラブル」の中のエポニーヌのソロです。 私はこの春、レミゼを10回以上観たので、4人のエポニーヌ全員の「オンマイオウン」も聴いています。 同じ曲でも、本田さんが歌うとここまで違うものか・・・。 正直、格のあまりの違いをまざまざと見せつけられて、ショックを受けました。 エポニーヌは乞食の醜い娘として登場し、お嬢様で美人のコゼットとの対比をする重要なキャラです。男性が振り向いてくれないようなキャラだと自覚しているエポニーヌは、片思いの男性をかばって命を落とします。 その彼女のソロ「オンマイオウン」は、私には幸せなんてどこにもない、とせつせつと歌い上げるシーンです。 他の4人のエポニーヌが 「失恋しちゃったかわいそうなワタシ」 というような恋の情感が強いのに対し、本田さんのソロは、明らかに、 「絶望」 を含んでいました。人生なにもかもわかってるわ、私のような女には幸せなんてやってこないのもわかってるわ、でもそんな私でも、あの人を愛してるの! その魂からの叫びに、たった一瞬ですがほんと、もらい泣きしそうになりましたよ・・・。この深い解釈、これこそ本物のエポニーヌだと思いました。 本田さんのエポニーヌには私たち観客の目を決して逸らさない迫力が、確かにありました。これこそミュージカルだと納得させられるものすごい「歌での演技」がありました。 心の底から残念です・・・。 そしてね、本当に悔しいのは、亡くなったあとになって、私を含め、多くのかたが、本田さんを惜しんで、ああ、一度舞台を観ておけばよかったと悔やんだということです。 でも、亡くなってしまったら、もう、みることはできないじゃありませんか。 みなさんにお願いしたいこと。 そして自分でも前向きに行動していきたいと思うこと。 それは、「スゴい!」と言われる歌、芸術の話を聞いて興味を持ったら、 なるべく自分で体験しにいくようにしようということです。 世の中にはスゴイ芸術家が何人もいますが、全員が日の目を浴びているわけではないです。私たちは、露出度に惑わされず、本物を見いだす眼を、私たちなりにもって、行動していきたいですね。 改めて、おくやみもうしあげます・・・。 ※この劇評は私の個人的な感想で、絶対的な評価ではないことを念のため書き添えておきます。 ※「レ・ミゼラブル」は12月1月大阪、3月名古屋、4月東京日生劇場と上演されます。もし観にいってみようかなと思われるかたは、私は個人的には、アンジョルラス役で東山義久さんが出演されている日をおすすめします。 彼のアンジョルラスはそれこそ目がさめる思い。革命に燃え、必死に生きる。胸打たれる演技の連続に血が熱くなることうけあいです。現在のレミゼラブルの役者さんの中では、私は東山さんの演技を一番気に入っています。 この東山さんは、カーテンコールも本当に素晴らしく、いついつまでも彼の中にアンジョルラスが残っているのが感じられて、感動的でした。本田さんのカーテンコールはどんなものだったのでしょうね・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年11月12日 12時24分32秒
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