2012/01/13(金)14:05
コメのサンプリング調査は意味が無かった!結局は生産者も消費者も国、自治体の犠牲者!
政府は昨日、福島市渡利地区で生産されたコメから暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を上回る放射性セシウムが検出されたことを受け、同地区を含む旧福島市全域について、2011年産米を出荷停止とするよう福島県に指示しました。
東京電力福島第1原発事故の後、コメが出荷停止となるのは、福島市大波地区などに次いで4地域目になるそうです。渡利地区は、最初にコメからセシウムが検出された大波地区と隣接していますが、収穫前後に計7地点でセシウム調査を行い、最大でも46ベクレルにとどまったため、出荷が認められていました。
かなり遅い対応ですが、政府もやっと危機感を持ってくれたようですね。日本人の主食であるコメについては、年間摂取量が多いのもあり、もっと神経質になってもらいたいものです。
こちらにある一つ目の表に今回緊急調査した数値と、予備、本検査で検出された数値が並んでいます。サンプリング数が少ないのか、それとも意図的にサンプリング場所を選んだのか分かりませんが、2度も行われたサンプリング検査の意味が無かったことが分かります。
もっと詳しく調査を行えば、さらに暫定基準値を超える値が計測される可能性もあります。当初から、これぐらいの意気込みで調査を行えば、消費者から信頼を得られたかと思いますが、自治体の認識の甘さが露呈したと言わざるを得ません。
厚生労働省が12月3日に公表した「自治体が公表した放射性物質の検査結果」では、岩手県一関市の牛肉2サンプルで暫定基準値(1キロあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されています。検出された放射性セシウムは、738ベクレル/kgと586ベクレル/kgでした。
群馬県でも、群馬県内8市町村で収穫・加工された乾燥シイタケから暫定基準値(1キロあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたと発表しました。検出された放射性セシウムは520ベクレル~2867ベクレル/kgでした。
このように福島以外でも、いまだに暫定基準値を超える数値が検出されており、コメだけが大丈夫という状態では決してありません。自治体も現実から目を背けるばかりでなく、今後農業をそうしていくのか、生産者の補償をどうするのかなど、出荷前提の考えから意識を変えて欲しいと思います。
最近、汚染された農作物を作るなと生産者の方を非難されている方もいらっしゃいますが、実際のところどのような状況なのでしょうか?こちらの方は宮城で農家をされていたようですが、加害者になりたくないと農業を辞めたそうです。それはそれで補償が受けられず大変だったようですが、まずは土壌汚染の調査が必要だと言っています。
確かに宮城は他県に比べ、汚染状況の調査は遅れていますから、県として詳細な調査を望みます。汚染状況が分からなければ、当然対処も分からないですからね。でも知事はその気が全くありませんが・・・。
こちらでもよく紹介していますが、農家の婿のブログを書いていらっしゃる、いわきで農家をされている方の日記を見ると、農家の方の切実な実情が分かります。
今回の震災で家が損壊した方なら分かると思いますが、保険に入っていなくても半壊、全壊ならば補償費用は出ますが、一部損壊ではほとんど補償費用が無い状態です。一部損壊でも原状回復させるために補修費用が必要となりますが、ほとんどの方が自費で対応されています。そのため、一部損壊扱いされた方が半壊扱いになるよう何度も申請を行ったという話を聞きました。
生産者の方も同じで、補償対象区域外の方には基本的に補償費用は出ません。そのため、補償対象区域にしてもらおうと、土壌調査を自費で行って申請する方がたくさんいらっしゃいます。しかし補償対象区域の基準値が出ているにも関わらず、数値の信憑性が低いなどと受け付けてもらえないそうです。
そもそも国の決めた大まかな補償対象区域が正しいとは到底思えません。コメにしても、福島市渡利地区は結果から見ればコメを作ってはいけなかった場所です。農家の方にも生活があります。補償対象区域ではない農家の方は、生きるために農作物を作るしかないのです。
そして自治体が仕向けたその行為を正当化するために、安全宣言だ、風評被害だと言い切り、無理やり流通をさせているのです。当然、そのしわ寄せは生産者に押し付けられます。出荷できても売れない、値段を叩かれ二束三文にしかならい状態では、いくら国、自治体が安全だと言っても商売になるはずもありません。
結局、農家の方も国、自治体が補償費用を出したくないがための被害者になっています。そして暫定基準値という異常な基準を半年以上も継続され、汚染された食材が流通することによって消費者も犠牲になっています。これは国民の健康を守る国、自治体の行為としては、かなり異常です。
私がよく書いている国、自治体、経済のために国民が犠牲になっているという話はこのような理由から言っています。放射能汚染はこれからもまだまだ続く長期戦です。最初から被ばく許容量を増やすような対応をしていては、本当に経済より人間の方が先にいなくなってしまいます。
いわき市の永崎海岸の砂浜で採取した砂から、最大で1キロ当たり4040ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表されました。このように今は農作物に目が行っていますが、海洋汚染はさらに深刻な状況です。本当に太平洋側の魚については、食べれなくなる可能性が高いです。
今後、何も対策を行わなければ、こちらの奇形動植物のように、人間も少しずつ放射能によって目に見える異常をきたしていくと思います。一度被ばくしてしまうと、放射性物質を体外に全て排出するのは困難です。そうなってからでは遅いですし、そうなっては絶対いけません。当初放射能を甘く見ていた、チェルノブイリ事故の過ちを、日本はまた繰り返そうとしています。
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