ロンドンでの私







何だか不思議な事に私はその頃ロンドンにいて、
アメ太郎君から離れているにも関わらず、
彼の事が異常に気になっていた。

何かあると彼の事を思い出し、そして、考え、
いつも行動していた。

辛い時も、苦しいときも、泣きたいときも、
「きっと、アメ太郎君だって、日本にいて大変なんだ。」
と思って、がむしゃらに頑張った。

毎日毎日、考えるのは彼の事ばかり。

夜寝る時に野球の好きな私は、目覚ましを朝4:00に合わせ、
朝、4:00から始まる野球を楽しみにしていた。
そして、それを見る度に彼の国の事を思っていた。

アメリカってどんな所なんだろう?
どんな考えの人間がいるんだろう?
彼の産まれた所は何処なんだろう?

何故だか分からないけど、何だかとても彼が気になった。

奥さんがいる事を知っていながら。。。
私は自分が嫌だった。

次第にそれを忘れようとした。
でも、忘れる事なんか出来なかった。

もう、この時私は彼を愛し始めていたのかもしれない。

でも、それに自分が気付かせない様に、
ただ、忙しく毎日を送っていただけなのかもしれない。

友達から電話来ると、必ず彼の話しになった。
私は一度友達に
「彼の事は聞きたくない。」
と言ったのを覚えている。

遠くはなれた誰かの人を思うなんて
耐えられなかった。
会う事も出来ないし、話しも出来ないし、友達でもない。
それに、彼が私を覚えているのかも分からない。

でも、自分ではやめようやめようと思えば思う程、
彼の事を思った。

やがて、豆の夏休み、死んだ父の用事で急に帰国が決まった。























© Rakuten Group, Inc.