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  みどりの日記 ~gardener's hum~

第9回 5月26日



『マグロのしっぽ』


毎年、年に数回ほど家族でアルビレックスの試合観戦に出掛けています。
数年前のことです。観戦の帰りに家族で近くの回転寿司屋さんに寄って帰る
ことになりました。

その日は土曜日の夕方でしたので、案の定駐車場にはたくさんの車が
止まっていました。「そうだよね、土曜の夕飯時だもん。人がたくさん
出ているはずだよね。」…と思ったのですが、よく見るとその数は異常です。
お客さんの列は入り口を溢れて店の外まで続いていました。

その人垣の先を背伸びして見ると、真っ黒な大きな塊が横たわっていました。
なんと『マグロの解体ショー』をやっていたのでした。それでこのお客さんの
数だったのですね。

カラン、カラン!突如として耳に鐘の音が響き、板さんの威勢のいい掛け声
と同時にショーが始まりました。お客さんがそれに答えて大きな拍手をしています。

店員さんはそろいのハッピを着て、せわしなく動いています。
しかし、異様な雰囲気の原因はそれだけではなかったのです。
よく見ると、店内にはテレビカメラが2台、集音マイクが2本、
ハンディカメラを持った女性が1人。あちこちにいるこの人たちは何なのだろう?
「へ~、取材かな?CM撮影かもしれないね」なんて、話しながらのん気に
食事をしていました。

息子は、「は~い、マグロさびぬきで下さ~い」とか、
「中トロさびぬきでお願いしま~す」など、学校の授業中のように
元気に手を挙げて板さんに注文していました。すると、ハンディカメラを
抱えた女性がスッと近づき声を掛けてきました

「すみません、東京のテレビ局なのですが。今日はマグロの取材をしています。
ボクがとても元気いいので、お話を伺ってもいいですか?」

ありゃ~、大変。息子は調子に乗ってニコニコ顔でマグロをほおばって見せていました。

私はその様子をボーっと眺めていたら「お母さん、マグロはどうですか?」
と急にカメラを向け質問され、固まってしまいました。スポーツ観戦後で
ボロボロの自分の姿に、顔から火が出る思いでした。その後も元気に板さんと
大きい声でコミュニケーションをとる息子。微笑ましいのを通り越して恥ずかし
かったです。


帰り際に、板長らしき男性が息子に黒い塊を差し出してきました。
「お兄ちゃん、マグロのしっぽ持って行くかい?」すると息子は
「うん、いる~」と答え受け取っていました。え、いるのぉ?


息子はキッチンペーパーで切り口を包んで渡していただいたマグロのしっぽを
得意げにかかげ、席が空くのを待っている人達の前を歩いていきました。
こんなに大きな魚のしっぽはそうは見られないし、触れないだろうし、
良い経験ではあるのだけれど…。どーすんの?このしっぽ!




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