山梨県歴史文学館 山口素堂とともに

2021/04/25(日)13:47

山口素堂夏発句 夏の部

山口素堂資料室(513)

山口素堂夏発句 夏の部   鎌倉一見の比  目には青葉山郭公はつ鰹     夜鰹やまたしと思へば蓼の露    増 一鐵  又や鰹命あらば我もまながつを  村雨につくらぬ柘植の若葉哉   又是より若葉一見となりにけり   箴(おさ)の音目を道びくや薮椿   余花有とも楠死て太平記   山彦と啼く郭公夢を切る斧   わすれ草もしわすれなば百合の花    綿の花たまく蘭に似たる費      宇治  喜撰法師昼の歌も詠れけり   瀬田  水や窓うなぎの穴も星螢  蓑虫の角やゆづりし蝸牛     愛宕山一宿  しら雲を下界の蟵(かや)に釣る夜哉  垣根破るその若竹を垣ねかな  河骨や紅にひらかぬ花ざかり   沢潟や弓矢立たる次の花       箱根  峠涼し沖の小島の三年洒    木曾路をのぼるころ  夕立にやけ石涼し浅間山  舟有川の隈に夕涼む少年哥諷(うた)ふ   比叡山の絶頂にて  山涼し京と湖水に眼三つ  千鳥聞し風の薫りや蘭麝待  暑き日も樅の木の間の夕日裁   富士  山姫や鹿の子白無垢土用干  浮葉巻葉此蓮(れん)風情過たらん  浮葉巻葉立葉折葉とはちすずし   開かんとする時、筆に似たり。  己つぼみおのれ書て蓮かな  我蓮梅に鴉のやどり哉  髭宗祇池に蓮あるたぐひ哉  一葉浮て母に告げぬる蓮かな  魚避けて鼯いさむる荷葉哉  鳥うたふ風蓮露を礫けり  そよがさす蓮雨に魚の児躍  荷たれて母にそふ鴨の枕蚊や  青とんぼ花の蓮の胡蝶かな  荷(か)をうつて霰ちる君みずや村雨  蓮世界翠の不二を沈むらん  或いは唐茶に酔座して舟行蓮の揖  花蓉芙美女湯あがりて走りけり  筆と見てひらく芙蓉の命かな  年もはやなかば流れつ御祓川

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