カテゴリ:俳諧資料室
**俳諧百韻の始め(『三養雑記』山崎美成著 天保十年) むかし伊勢の守武、山崎宗鑑、俳諧を弄てより。玄旨法印、貞徳翁に至りても、只十句、二十旬のいひ捨にて、定りたる会席もなかりしに、寛永六年十一月下旬、貞徳第の門人西武といふもの、京都寺町妙満寺に於て、始めて会席をまうけ、連歌の式にならひ、床に聖像をかけ、香華を供じ、文臺をかまへて、百韻満尾す。これ俳諧会席の濫觴なり。 つみ綿かぬり桶なりの庭の雪 松永貞徳 火ばちめされよ雲の衣手 山本西武 天人や寒をこらへかねぬらん 野々口親重 満水清きまつの岩がね 満寺日如 いづくとも泊さだめぬ猟師船 末吉道節 月いでゝしる山の方角 木正寺日能 竿なりに羽うちかはす鴈の聲 雞冠井令徳 糊つけきぬたゆふべころく 馬淵宗畔 執筆は須賀庄三郎といふものなり。西武は三条梅忠の町に住て、綿商賣せしにや、後に貞徳翁の秘書、ことごとく西武へ譲られしは、西武、亭主にて始て俳諧の曾席を催したるゆゑなるべしといへり。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年04月23日 04時57分34秒
コメント(0) | コメントを書く
[俳諧資料室] カテゴリの最新記事
|
|