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2019年05月01日
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カテゴリ:甲斐武田資料室
武田美時代も大きな音をたてて、崩れ去っていく。多くの家臣は裏切り敵方に同調する有様。特に地元武川衆はいち早く徳川に身を委ねた。彼らは勝頼が死の行進の最中も徳川からの指示を待っていた。
 勝頼夫人は、その中で「願文」を書し奉納した。

武田勝頼夫人の願文
                      韮崎市武田八幡宮奉納
                      『講習風物誌』上条馨氏著 昭和34年刊
 

   勝頼夫人願文の掲載資料

 1、神主矢崎対馬所蔵(『甲斐国志』)
 2、『甲斐国志』巻之百二十二     付録第四
 3、昭和十一年、小学国史教師用中巻 (『甲斐国志』の引用)
 4、『武田信玄事蹟考』 全文掲載 九字の間違いがある。
 5、『甲斐史』(『武田信玄事蹟考』)を引用掲載。
 
敬つて申す      祈願の事
 南無帰命頂礼 八幡大菩薩此の国の本主として竹田の太郎と号せしよりこのかた代々守り給ふ。こゝに不慮の逆臣出で来つて国家を悩ます。よつて勝頼運を天道に任せ、命を軽んじて敵陣に向ふ。しかりと雖も、士卒理を得ざる間、その心まちまちたり。なんぞ木曾義昌、そくぼくの神慮をむなしくし、あはれ身の父母を捨てゝ寄兵を起す。これ自ら母を害するなり。就中勝頼累代聚十恩のともがら、逆臣と心を一にして、忽にくつがへさん とする。万民の悩乱、仏法のさまたげならずや。そもそも勝頼いかで悪心なからんや。思ひの焔天に揚り、瞋恚尚深からん。我もこゝにして相共に悲しむ。涙又闌干たり。神慮天命誠あらば、五逆十逆たる類、諸天かりそめにも加護あらじ。この時に至って神感私、渇仰肝に銘ず。悲しきかな、神慮まことあらば、運命この時に至るとも、願はくは霊神力を合せて、勝つ事を勝頼一身につけしめ給ひ、仇を四方に退けん。兵乱反む。天命を開き、寿命長遠、子孫繁昌の事。右の大願成就ならば、勝頼我共に社殿御垣根建て、廻廊建立の事。敬つて申す。
天正十年二月十九日 源勝頼
【意訳】
敬って申しあげます。祈願のこと。
南無帰命頂礼、八幡大菩薩様、この甲斐国の国主として国を治めるようになり、武田の祖、信義が武田太郎と号して、武田姓を名のってかた今日まで、代々神霊の加護を受けて参りました。しかるに、この時に至って、思いがけない謀叛の逆臣が出現して国家を悩ますに至りました。よって夫勝頼は運を天命にまかせて、命をなげうって敵陣に向かいます。けれども部下の中に道理をわきまえない者があって、兵卒の心もまちまちであります。彼の木曾義昌な何としたことか神の掟に背き、義父母たる機山公(信玄)大井夫人にまでも叛いて不意討の兵を挙げることか。これは自らの母を殺害することにもなる大罪ではないか。とりわけ武田家の恩顧を受けてきた家臣までが、逆臣と心を合わせて武田家を転覆しようと企むにいたりました。まことに万民を苦悩に陥れる仕業であり、仏業修業、来世のさまたげではないか。そもそもなんで勝頼に悪心がありましょうか。勝頼の心中、無念の焔は天にもあがるほどであり、いかりの心はまます深まりゆきます。私もここに勝頼とともに悲しみ無念の涙は、溢れてはらはらとおちてまいります。なにとぞ、神の思し召しや天命に、もし誠があるならば、五逆十悪を犯した者どもには、諸神諸仏も加護はないはずです。ことここに至っては神の思し召しに私利私情なく公平無私なることを深く思い、心より神恩仏恩を仰ぎ奉ります。武田家の運命がこの最悪の事態に至っても、願わくば守護神様、力を合わせて、勝頼の生命にも代えて敵に勝たしめたまい織田、徳川侵入軍を国外に撃退せしめん事を。兵乱を静め、運命を開き、寿命はますます長く、子孫繁栄を真心こめて祈願し奉ります。右の大願が成し遂げられたあかつきには、夫の勝頼とともに階壇や玉垣を建て、廻廊をも建立奉納致します。ここにかしこみ敬って申す。
天正十二年二月十九日 源朝臣 武田勝頼の妻








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最終更新日  2021年04月23日 04時31分20秒
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