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2020年10月28日
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カテゴリ:甲斐駒ケ岳資料室

甲斐駒ケ岳 秋の遠方 秋谷豊

 

『日本の名山 16 甲斐駒ケ岳』

  串田孫一氏・今井通子氏・今福竜太氏 編

  博品社 1997

   一部加筆 山梨歴史文学館

 

遠くの町からぼくはやって来たのだ

原生林の落葉のさかりのなかヘ

一夏よく知っている七丈小屋の方へ

 

さむい小駅の仮睡の中から

ゆっくりとぼくは目をさまして

キスリングザックを肩に

濃い霧のなかへ出かけていった

陽が一日を閉じるように

一つの昼のなかでぼくは静かに

登攀を夢みるのだ

 

その午前 屏風岩のあたりで

見しらぬ一人の友と出遭う

彼は昨日仙丈岳をこえてきたと言う

――山の色は一面燃えているようです

それにしても彼のどっしりと重い微笑は

何という高山草に似ているだろう

 

ああ 十月の甲斐駒

霧に捲かれ

黒い岩の凹みからぼくは岩頭を狙うのだが

かつての夏の日

空をひき裂く電光が映し出した

ぼくの記憶の襞(ひだ)には

白く崩れ落らでいく山頂があり

 

褐色の雷鳥の冷いねむりがある

遠くの町からぼくはやって来たのだ

やがて新雪のおとずれる山稜へ

偃松と偃松が重なり合っている暗い方へ

 






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最終更新日  2020年10月28日 21時36分15秒
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