カテゴリ:北杜市歴史文学資料室
◇甲斐 根わけの後の母子草 兎園小説(瀧澤馬琴)
文政四年の春二月晦日の黄昏ごろ、 元飯田町の中坂にゆきたふれたるおうな(老女)ありとて、 これを観るもの堵の如し。(中略) 旅寝すること九年に及べり、 今は既に巡り盡して、廻国すべきかたもなけば、 ふたゝび江戸をこゝろざして、岐岨(木曽)路をくだり、 甲斐が峰をうち遶り、よんべは両郷(ふたご)の渡りとかいふ 川邊のあなたなる里に宿とりつ。 かゝりし程に、 あの御坂のほとりにて、俄に足の痛み出でゝ、 一歩も運ばしがたければ、思はず倒れ侍りきといふ。
按ずるに、ふたごの渡りは、 江戸を距ること西のかた四里許りにあり、 この地は甲州街道にあらず。中山道なり。 かゝれば甲斐より相模路を巡りて、江戸へ来つる成るべし お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年10月17日 05時45分10秒
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