カテゴリ:山口素堂・松尾芭蕉資料室
<歳暮>
世は鳴門暦はづれに渦もなし
これは暦をまきたるを、初春より巻ほぐして、 歳の暮にうたりて巻の末を見るゆゑ、 はづれの渦もつきてなしとのこころなり、 この句とり、もてはやし、 このむほどの人へは、かたりつきたるほどに、 世にひろくなりぬとなん。 ある時、 素堂相知れる人来りてそこの歳暮の発句とて、 或方にて聞たるに心ことばおもしろう侍るとかたれければ、 それいかに聞たまふととひければ、
名は鳴門暦はづれにうづもなし
かうこそ聞たれといふ、をかしや、 わがしたるはさにあらず、 されど此かたおもしろし、 さらば聞ちがへのままにひろめたまへとて、 是にきはめたるとぞ、 ふるき夢物がたりに、 小町が手よりこがねを得たるためし、 八雲の御抄に申させ玉へば、 それにならべんもをこがましけれど、 折ふし口切のころなればおもひねの枕に
はつむかし霜の芭蕉のたもとより お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年11月14日 04時58分42秒
コメント(0) | コメントを書く
[山口素堂・松尾芭蕉資料室] カテゴリの最新記事
|
|