〈作・演出〉 長塚圭史
松たか子
鈴木 杏
田中哲司
中村まこと
梅沢昌代
吉田鋼太郎
『もういいの、思ってしまったんだから。』
用意された部屋に不満を持つも、あっさりと引き下がる馨。
東京でシェフをしている夫の信助とともに、従兄弟の優治に招かれたホテルの一室。
優治の妻であり女主人の操子の死をきっかけに遠のいた客の足を
売れっ子の信助の新メニューで、どうにかしたいという考えらしい。
このホテルには、操子の兄であり児童小説家の神城礼二も娘・美鳥と暮らしていた。
少し風変わりな馨に美鳥は興味を抱き、やがて二人の波長は重なり始める。
『嫌ねぇ、ギラギラと紅く、あんなにも。死人花。』
一面に彼岸花を見渡す、ある寂れたホテルの記憶。
うわっ!
めちゃめちゃ自分好みの物語!面白かったぁ~。
ところで、部屋に切り裂く大きな亀裂。何なんだろう?
馨の心の傷。神の怒り。感覚(倫理とか価値とか)の合わない者との隔たり、決定的なのは…
どちらにしても、埋まることのない深い溝ってことには違いない?
なんて、得意の妄想癖にも火がついて楽しい!
―であってはいけない
踏込んではいけない領域。
その場を犯してまでの、歯止めが効かない衝動みたいなモノ。
美徳と悪徳に優越する、名状しがたい何か。
「絶対なんてことは、ないんだからっ。」
って、学校の先生かテレビドラマの中の誰かが言ってたはずだけど。
あの時、手に入れたものは、本当に必要だったんだろか?
あの時、手放したものは、本当に不必要だったんだろか?
な~んて今振り返って考えてみても、確信までには至らない
けど、少なくともそう思ったその瞬間は「絶対」だったんだよねぇ。
「絶対」というのは、経験からでしか得られないモノなんでしょうか?
『始まったと思ったところが始まりだ!そこから先は自由だ。』
…「絶対」の感じ方は人それぞれのようです(汗)
まるで、いくつもの呼び名を持ち、その表情を変える曼珠沙華を見るように。
あるのかなぁ、「絶対」。
『そこが”開放させる者”と”呪縛される者”の違いだよ。』
って、ニュースや新聞で紹介される狂人たちに言われてしまいそう。
自分には絶対ムリだわな(寒)
出会ってはいけない二人が出会い、呼び起こす波紋。
そして、それはやがて勝者と敗者の構図に変わり―
って、いろいろ真面目に考えてる風だけど、実は結構のほほんな気分で書いてたり。
そうしないと、あの結末はっ!どぉーなのよっ!って思うのよ。
メッセージと言えば、あの紅い花の3つの花言葉。
『悲しい思い出』『想うはあなた一人』。
あともうひとつ(笑)